第2回 頭に「い」のつく映画といえば?
小さい頃、「たかおに」って遊び、やりませんでした?
平地にいるとすぐに鬼にタッチされて捕まってしまうんだけれど、ほんの少しでも高い場所に上っていれば、鬼は手出しが出来ない。
ただし、十秒以上同じ場所に上っていたら一度降りないといけない、みたいなルールがあって(ローカルルールで部分的に違うかもしれませんが)、楽しかった記憶があります。
これから紹介する映画は、子供の頃の懐かしい遊び「たかおに」を思い出させてくれる、ほのぼの映画。
高いところに上っていれば安全、ただし、どんどん高い場所へと移動していかないと……即死!
即死なんです。
全然ほのぼのしてませんね。すみません。
今回「い」の頭文字で、紹介する映画は「
某お笑い芸人は関係ないですよ。
2019年の韓国映画。監督・脚本はイ・サングン、出演はチョ・ジョンソク、イム・ユナ、コ・ドゥシム、パク・インファン、キム・ジヨンほか。
あらすじはこちら。
かつては大学の山岳サークルのエースだった青年ヨンナムは、就職に失敗し、いくつも面接を受けていますが、うまくいきません。
無職で実家暮らし。厳しいものがあります。
それでも筋トレだけは欠かさず、家族からは馬鹿にされ、近所の公園の鉄棒で懸垂しては、小さい甥っ子から呆れられています。
親族一同が集まる、母の喜寿の祝賀パーティーに参加したヨンナムは、高層ビルの一角の宴会場で、山岳サークルの後輩・ウィジュと再会します。彼女はその宴会場の従業員、しかも副店長だったのです。
無職男の先輩・ヨンナムとは対照的に、利発そうで仕事もできるし副店長という立派な肩書きもある美人の後輩・ウィジュ。
しかも昔、ヨンナムはウィジュに告白して、フラレて号泣したという過去もあります。
マウント取られまくりの悲しい再会です。
そしてウィジュから聞かれます。
「先輩は今、仕事は何を?」
「会社勤めさ……ベンチャー企業の課長だ」
つい見栄を張ってしまう! 無職なのに!
私も経験あるから分かります。無職の時には昔の知人に会いたくないんです! 必ず仕事の話題になるから! 特に後輩には! キレイな異性なら尚更ですよ!(力説)
っていうかヨンナム、無職という現状をヘンに心配されたり気を遣われるのが分かっていて、よく親戚の集まりなんかに顔を出したな! 偉いよオマエ! 個人的に感情移入しっぱなしだよ! がんばれヨンナム!
さてその頃、都心部では、男が散布した有毒ガスが広がり大惨事になっていました。
化学工業で働いていた従業員が、薬学の特許を巡って会社と対立、その後、裁判で敗訴したことによる復讐のため、有毒ガスを散布する特殊車両を、会社の前で作動させたのです。恐ろしいのは、自殺も込みの犯罪であり、自分が助かる気が微塵も無いということ。
白い有毒ガスはみるみるうちに広がっていき、街中は濃霧に飲み込まれるかのようです。そしてガスは気流に乗って、高層ビル街の上方へと昇ってきます。
白いモクモクとしたガスをちょっとでも吸い込むと、吐血してすぐに倒れて、そのまま死んじゃいます。
群衆はバタバタと倒れ、地上はパニックに。まさに地獄絵図。
ヨンナムとウィジュがいる高層ビルにもガスが迫ってきます。
白いガスは街中を包み、次第に上へと昇ってきます。
ゴタゴタと揉めながら、親戚一同で屋上に逃げます。
救助ヘリが来てくれましたが、人数制限もあり、大家族では全員が乗ることはできません。
他の人を乗せるために、自ら身を引いてビルに残ったヨンナムとウィジュ。
次の救助ヘリがすぐ来るはずですが、なかなか来てくれません。
2人は、山岳サークル時代に鍛錬した体力とスキルを発揮して、脱出に向けて動き出します。
気流の関係でガスはどんどん上へ昇ってくる!
少しでも高いビルに移りながら、ガスから逃げる……といったアクションものです。
雲海に頭を出す山々の如く、白いガスの海に包まれた街の中で、夜のネオン輝くビル群が頭を出しているという、目を惹くビジュアル。
その屋上にロープを渡し、少しでも高いビルへと移動していくストーリーは、目的が明確で実にシンプルです。
フィットネスジムの窓から、ダンベルをロープに結んで、向かいのビルの屋上に幾つも投げて、渡る足がかりにするシーンでは、ヨンナムに体重を聞かれたウィジュが、無言でもうひとつダンベルを追加したりで可愛いです。
焼肉屋の中にもガスが入り込んで充満し、焼肉屋の天井の排煙装置が働いて、行こうとしていたビルの屋上に突然ガスが噴出して進路を妨げられるとか、状況と設定を生かした良質なアイデアが光ってます(このシーン、ちょっと笑ってしまいました。身近な焼肉屋の排煙装置が殺人装置になるなんて!)。
この映画を観た後に、電車の窓からビル街を見ると「自分なら、ガスが上ってきたらどう逃げるか」なんて脳内シミュレーションしたくなります。
その前に、少しは体を鍛えないと……。
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