好きな人の好きな人

圭太の両親は、絵理の両親と友達だったので、絵理と圭太は小さい頃からよく遊んてでいた。

絵理は昔から圭太が好きだった。

でも、圭太は親友の愛花を好きになった。


学校が終わって、絵理はいつも通り愛花と一緒に帰っていた。

「ねぇ、圭太君にさ…」

「ん?」

「告白されて…」

「え?!そうなの?」

圭太が愛花を好きなのは知っていたが、告白したことは知らなかった。

「…前からね…、気になってはいたんだけど…」

「そうなんだ。良かったじゃん!」

絵理は明るく言った。

「でも、付き合うのとか初めてだし…」

「たぶん圭太もだよ?」

「そうなの?」

「たぶん」

「そっか」

愛花は少し安心した。


「ね、返事しに行くの…ついてきてもらえないかな…?」

愛花はモジモジしながら言った。

「え?」

「だって1人無理…」

「何か気まずいな…。ま、いっか」

「絵理〜、ありがとう!」

絵理は愛花の不安な顔と嬉しい顔が混ざってるのを見て、可愛いなと思った。

 

約束通り、圭太に返事をするのに圭太のクラスまでついて行った。

「じゃ、呼び出してくるから、ここで待ってて」


「圭太」

「おう、絵理どうしたの?」

「愛花、教室の外で待ってるからさ。行ってあげて」

「…聞いた?」

「うん」

「そっか…。どっち…?」

「自分で聞いてきなさい」

「はい…」


圭太が愛花の所に行くのを見届けて、絵理は1人帰る事にした。


(何か、複雑な気持ち…。でも、2人が幸せならいいか…)

とぼとぼしながら帰っていたら、パブロに会った。


「あれ?1人?」

「…うん」

「…どうしたの?」

パブロは何かに気づいて聞いた。

「愛花と圭太、とうとう付き合うことになった」

「そっか…」

「うん…」

2人で並んで歩く。


「 偉いね」

「ん?」

「自分の事、抑えすぎで、馬鹿みたいって思うけど…」

「けなしてるよね」

絵理は軽く笑った。

「俺なら、好きな人の恋の応援なんてしないね。むしろ、逆」

威張って言った。

「それはそれで、良くないんじゃない」

「そうかなぁ」

「自己中?」

「だから、俺いっつも怒られてんのかなぁ」

「おじいさんに?」

「とか、先生とか色々…」

「ふーん」

「あ、でもさ。俺、孝司のためなら、色々やってあげれるな」

パブロは絵理に笑いかけた。

「仲いいもんね」

「うん。かわいい」

パブロはしみじみ言った。

絵理は笑った。

「何?」

「ん?パブロもかわいいね」

「バカにしてんだろ!」

「ん?」

「おいっ」

パブロは笑ってツッコんだ。


パブロは少し神妙な顔になった。

「泣けば?」

「え?」

「和美さんの時みたいに」

「…うん。気が向いたらね…」

絵理は軽く笑って言ったけど、目が少し潤んだ。

気が向いたらとは言ったが、帰り道は静かに泣いた。

パブロは何も言わずに、ゆっくり歩いてくれた。

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