第3話
「ねぇ、昨日のことは内緒にしてくれない?」
銀髪の少女、渚 天蒼にこう言われた時俺はこいつが何を言っているかわからなかった。
「お前と昨日会ってないと思うんだが?」
正直俺はあまり家から出ない。だから昨日も家から出て……あ、昨日レッド○ル買いに行ったんか。
「あ~あの時の公園の。」
俺があほ面をさらしていたからだろう。渚さんは困ったような顔をしていた。
「そうよ。誰にも内緒。わかった?」
彼女も記憶が曖昧だと知るとあまり何も言いたくなくなったんだろう。言うと思い出されるかもしれないかもしれないからな。
「わかったわかった。で、なんで内緒にしてほしいんだよ?」
俺は早くゲームがしたいため、気になったことだけ聞いて会話を終わらすことにした。
「あなたが知る必要はない。」
彼女はそれだけ言うと屋上から出ていった。俺は彼女になぜ内緒にしてほしかったのかを聞かなかったことに猛烈に後悔することになるだろう。
「何だったんだあいつ?」
そして俺はまたゲームに打ち込み始めた。
ゲームの中の俺のキャラは俺が集中していなかったためだろう、もう少しで倒れる寸前だった。
ゲームというのは集中してやるものだなと思い俺はまた新たな試合を始めた。
……――……
人生というのはやり直しが利かないがゲームではやり直しができる。
このことは誰もが知っているだろう。
だがやり直しが出来たらいいなと思うことはあるだろう。
まさに今の俺がそうだ……。
……――……
もうそろそろチャイムが鳴るな。
俺は学校というものが一番鬱陶しく感じるこの時間を耐え、手早くポケットにスマホを突っ込み教室へ戻っていった。
教室では曽我部は眠っており、そしてやはり渚さんも何事もなかったかのように眠っていた。
曽我部に関してはどうでもいいが渚さんの行動に対しては全く意図が読み取れなかった。
俺は渚さんのことばかり考えてしまい、午後の授業を珍しくもないがずっと寝ることになった。
……――……
授業が終わり、みんなが下校していくなか、渚さんはそれでも尚寝ていた。
さすがの俺でも屋上での出来事があったから渚さんのことを気になっている。
なぜ渚さんは放課後に残っているのだろうか。
俺は帰宅部のエースと言われるぐらい帰宅が早いため全く渚さんについては知らない。
そのため、俺は尾行することにした。
渚さんの不思議な行動の理由がわかるような気がしたからでもあるが、特にといってやることがないからでもあった。
この時はあまり深くは考えてはいなかった。
渚さんがまさかあんなことを考えていたなんて……。
やる気のない彼女はヤる気もないらしいです エレメント @eremento
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