第18話 早咲き桜が咲けば(14)

『プンプン』と、自身の頬を膨らませ、鼻息荒く不満を放ってやった。


 だから魔王のような彼は唖然、呆然だよ。


 だって彼は私に、自信過剰な鼻を。


『ポキン!』と折られた訳だから。


 自身の口を開けたまま沈黙をしているよ。


 そんな彼に私は。


「では、さようなら。ごきげんあそばせ」と。


 彼を嘲笑うように告げると。


 慌てて自身の愛車へと、乗車──。


 そして乗れば。


 私は自転車のハンドルを両腕、掌で、力強く握ると。


 今度は自身のカモシカのような。


 すらりと伸びた足を使用して──。


 ペダルを力強く両足で踏み──。


 クルクル回転させながらペダルをこぎ──。


 その場……。


【早咲き桜】の並木と。


 あの、自信過剰な男子……。


 前回の神さまのような振る舞いとは違い。


 魔王のような所業の男子から逃げるように。


 私山下光流は逃亡をするのだ。


 自身の脳裏では。


 あのいけ好かない男子へと。


 自分の舌をベロンと出し。


【アッカン、ベェ~】と思いながら。


 自信過剰で生意気な彼から逃避行をするかのように。


 私山下光流は慌てて逃走を図る。



 ◇◇◇


(7)


(お願い)


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