第3話 孔雀王の国の友として【番外編】カナン編

孔雀の国の王の友として~私は異国の親友になる~


南和也は妹と両親も一緒に海で楽しく泳いでいた。                いつも通り楽しく海で遊んでいたのである。この砂浜は少し伝説があった。でも決して悪いことではない。異国の世界と結ばれ大切な客人としてわたり彼らのためにしあわせをもたらし縁をむずび多くの事を教わりまた数年後に帰る。しかも100年に一度その客をこちらの世界からご招待されて沢山の愛情をくれるらしい。        そんな浜辺はとても美しい。

自分はそういう物語が好きでひょっとしたら客人になれる気がした。海に潜り魚を見た

とても美しい魚たち。海藻も揺れるなんていい世界。自分は海のために何らかの仕事がしたかった。魚の本を読み言葉を覚える。子供ながらに父親に詳しく教える。びっくりする大人顔負けなのだ。自分は海の博士になりたい。などと大きくみんなに将来の夢を語る少年だった。                              ただ、海に流された。海水が口にたくさん入る。助けてと言う言葉が叫ばれず。もうこの海できっと死んでしまう。嫌だ。まだ死にたくない。また夢も希望もある自分をこの故郷で暮らしていきたい。


気がつくと浜辺にいた。大きな孔雀が私の顔を見る。不思議であるそっと孔雀の身体に触れた。すると心の声が聞こえた。


ようこそ、この異国の地に来てくださった。


私たちのために良き知恵を教えてください。


少し寂しい体験もするでしょう。


でも何らかの縁です。


大切な友人としてお招きしました。


国のため、民のためどうか数年の時間を分けてください。


沢山ここで学びあなたが寂しさだけで返しません。


約束しましょう。


和也はビックリする。驚いて身体をあげた。すると、周りの人間が全く違う服装をしている。まるで楽しそうにしている笑顔でいる。どこにいるのだろう。しばらくして、王様のような恰好をしている少年が嬉しそうに自分を強く抱きしめた。


そして、何かを言っている。うまくわからないがとにかく友達になって欲しいと言っているような気がした。そして家来に本を出して欲しいと頼む辞典である。彼は何度も確認する。孔雀は何度もこの王と自分の周りを歩く。


その少年は自分に「どこの国から来た?」と言っているような気がした。


「日本から来た」


そういうと彼は嬉しそうに今度は紙と鉛筆を持ち辞書をめくり「わたしのゆうじんになってください」なれない字が書く。幼稚園児が書いた文字。自分と同じ子供なのに歓迎しているのだ。孔雀は何度も頷く。だんだん理解したここは異国で客人として来たのである。

これが孔雀王の出会いである。街が騒がしい。私はゾウに乗せられパレードを見た。少年は常に紙で言葉を選ぶ。不思議と親友になれる気がした。つくづく言葉とは大切だ。はじめはジェスチャーしたり、とにかく彼なりに伝えたいのだろう。何度も「あんしんして」

と言いたいらしい。こんな異国の地によばれているのだ。どうやら夢ではないらしい。

気がつくとご馳走を並べられた。中華料理が沢山出る。ここは中国なのか?

実は前の客人が中華料理の料理人だったらしい。その国に作り方など詳しく説明して感謝された。多くの国民がその味をして「ありがとう」と言っていたのだ。

自分には何のためにここに呼ばれたのだろう。意味はあるのか?自分は教えてあげられるのだろうか。孔雀王は何度も嬉しそうに微笑む。

こんなに期待されているのである。

ふと思った。自分は魚や海に関しては知識がある。

この地で世話になるならこれを使おう。

しばらくして自分も孔雀王もお互いの言葉を勉強する。お互い必死である。時には遊び、時に大きく笑う。食べ物も好きなものは半分にする。孔雀の王の名前は「ラン」という。そして自分は和也と言った。彼は南和也を上手く言えなく「カナン」というあだ名をつけた。

そちらの方がこちらの国では良い名前らしい。

私は両親が恋しくなり夜に泣いていた。


いつも戻れる。


いつ食事ができる。


すると彼は突然。和也の料理を教えて欲しいと言った。

笑顔でお前に美味しい料理を作る。母の味である。

もう言葉の壁はなかった。

同じように包丁を持ち調味料を確認する。どうやらもっと前には日本人の来客もいて醤油の作り方を教えていたのだ。不思議なご縁は続く。


「カナン」


「ん?」


「やっとできた。鯛の煮つけ」


威張っていた。どれどれと口に入れた。とても美味しい。こういうことができる王なのだ。

正直最初は馬鹿な字を書いて渡したので少し抜けていると思った。この友人といつかお別れるのである。もとの国に変えるのである。「親友」という言葉がふさわしい。


「カナン。いつか戻るのか」


「そうかもしれない」


「わたしは戻って欲しくない。いつまでも友人としてここの地にとどまらないか」


「私の両親は日本で泣いているかもしれない」


「実は明日お前の決断で、帰れる日が来る」


ただ、驚いた。ほんの2年しかいない。数年と聞いていた。


「お前が選べばいい。ただ、そのチャンスが二度とこない。帰るかはお前しだい」


ランは泣いていた。本当は戻って欲しくない。「親友」を手放したくない。

沢山の事を教わったのでお返しするのである。

和也は泣いた。ランと明日でさよならしなければならない。ずっと言えなかったのである別れの日が来ることを黙っていた。彼なりに思ったのだろう。

時々泣きそうになっていたことも、

ランは和也に手紙を書いた。親友として

いろんな出来事を細かく書いてあるこんなことに感謝したこと。

和也は涙が出て止まらない。

言葉が美しいのである。

こんなバカな友人で困らせた。

何て彼らしいではないか。

人々がその日、海にわたる船に乗るため沢山の喜びを言う。こんな子供に感謝するのである。でもランだけはとても寂しい顔をした。

舟をこぎだす。ああ・・。これで帰れるのだ。するとランがどうしても帰って欲しくなくて海の中へ走っていった。

泣きながら帰らないでと叫ぶ。


自分は思わず船を降りた。「カナン」として使えよう。この王のために働こう。


どんなこともわかりあえる。


自分は名を捨てた。


でもそれはそれでよかった。


まあ、困った王で泣き虫で誰にでも悪さをして怒られる。


「親友」が異国でもいいのだ。


孔雀の神は私を導いてくれた。


たった一人の「親友」なのだ。


だから選んだ。


この地にとどまろう。


彼のために・・・。                 



                                 おわり

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孔雀の国の王として民を守るために~王として生きていくために~ 星乃秋穂(ほしのあきほ) @HAUHAUTOUKYOU

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