添友【ソフレ】

蒼(あおい)

第1話

―悠の家。未唯が訪ねて来る。


―インターホンが鳴る。


―悠、扉を開けて、未唯を招き入れる。







悠:いらっしゃい。


未唯:お邪魔します。





悠:今日はどうする?


悠:少し雑談でもしてからにするか?


未唯:何?話題でもあるの?


悠:…いや?特にないけど。


未唯:ないんかい。


悠:(笑)まぁいいじゃん。


未唯:そういう所、変わってないよね。


悠:そう…?


未唯:うん、全く。


悠:まぁ、変わるつもりもないけどね。


未唯:知ってる。





悠:あ、何か飲む?


未唯:何があるの?


悠:インスタントだけど、コーヒーとか。


未唯:寝れなくなるじゃん!寝るために来てるのに。


悠:(笑)冗談、冗談。


未唯:もう…(笑)


悠:紅茶もあるよ。冷蔵庫に牛乳もあるから、砂糖入れてミルクティーにでもする?


未唯:あ、それいいかも。


悠:じゃあ、作ってくるから。ちょっと待ってて。


未唯:はーい。







―悠、キッチンでミルクティーを作る。


―未唯、ソファーに座って寛いでいる。







悠:はい、お待たせ。


未唯:ありがとう。



―未唯、ミルクティーを一口飲む。



未唯:……あ、美味しい。


悠:甘すぎたりしてない?


未唯:ううん、これくらいがちょうどいい。ホッとする。


悠:そう、良かった。



―悠もミルクティーを一口飲む。



悠:……うん、美味い。





未唯:…雑談とかって言ってたけどさ。


悠:…ん?



未唯:こうして、飲みながらお互いまったりするだけでも、正直落ち着くもんだよね。


悠:そうだね。


未唯:そういうのも、求めてたりするんだけどさ。


悠:癒しが欲しいよね。





未唯:お互い一人暮らしでさ…


悠:そこそこにお互いのこと知ってるけど…


未唯:そこそこに他人だからね。


悠:だからこそ、成り立つんでしょ?この関係。


未唯:まぁね。


悠:最初、話聞いた時は驚いたけど。


未唯:ごめん…。


悠:いや、いいよ。何だかんだで、俺も慣れてきちゃってるからさ。



未唯:そう?


悠:うん。



未唯:でも、確かに。どっちかって言うと、最近は私より悠が多いね?


悠:だめだった…?


未唯:ううん。気持ちは分からなくないから。


悠:そう。


未唯:だって、この話持ちかけたの私だもん。


悠:確かに。


未唯:受け入れてくれるとは、正直、思わなかったけど。


悠:うーん…まぁ、気持ちは分からなくなかったから。



未唯:…ありがと。



悠:うん…。





―静寂が二人を包む。





悠:そろそろ、寝る?


未唯:うん。





―ミルクティーを飲み終え、寝室へ向かう二人。


―悠の寝室―







悠:そっち、狭くない?大丈夫?


未唯:うん、大丈夫。





悠:……いつもの、してもいい?


未唯:それやらないと、眠れないんでしょ?


悠:そうだけど、一応許可は取らないと…。


悠:『相手が嫌なことはしない』のがルールなんでしょ?


未唯:そうね。いいよ、どうぞ。


悠:…ありがとう。





―悠、未唯を抱き寄せ、未唯の身体に足を絡ませる。





悠:……。(深呼吸する)





未唯:落ち着く?


悠:…うん。


悠:癒される……。


未唯:そう。なら、良かった。





悠:一人暮らしだと、無性に人肌恋しくなる時あるからさ…。


悠:仕事で嫌なことあった時とか、ふと、寂しいなぁって感じる時とか…


未唯:うん、わかる。


未唯:モヤモヤしてたり、落ち込んだ時とかね。


悠:自分と親しければ親しい程、そういう時って、なかなか相談できないんだよなぁ。


悠:余計に気を使っちゃうというか…


未唯:あまり踏み込まないからこその、第三者の意見が聞きたいのよね。


悠:そうそう。抱き枕に相談しても、返事が返ってくる訳じゃないしさ。


未唯:そりゃあね(笑)


悠:(笑)



未唯:干渉し過ぎず、自由でいたいのよねぇ。


悠:普通の人からしたら、この関係って、どう思われてんのかな?


未唯:どうなんだろう?やってる人自体が少ないから、あんまり良い印象ではないんじゃない?


悠:そっか…。まぁ、人ぞれだよね。男女の意見もさ。


未唯:そうだね。





悠:……。(欠伸をする)


未唯:眠くなってきた?


悠:…うん、ちょっと。





未唯:……私もさ、



悠:うん…?



未唯:いい?



悠:…?何を?



未唯:私も、悠に足絡ませてみたい。


悠:え…?背中に抱きつくやつじゃなくて?


未唯:うん。今日は、なんか、そんな感じだから。


悠:珍しい…。


未唯:良いじゃない、別に。


悠:(笑)いいよ。どうぞ。





―未唯も悠の身体に足を絡ませる。





悠:…どう?



未唯:……悪くはない、かも。



悠:それは良かった。





未唯:…悠の心臓の音が聴こえる。


悠:そりゃあ、生きてますから。


未唯:(笑)なにそれ。



悠:俺も、未唯の心臓の音聴いて、毎回寝てる。


未唯:え?でも直接、耳当ててないじゃん。聴こえてる?


悠:身体から感じ取ってる。結構伝わってくるもんだぞ?


未唯:そうなんだ。


悠:そうなんですよ。





―お互い、微笑む。





悠:そろそろ、寝ようか。


未唯:うん。





未唯:……悠、


悠:ん…?





未唯:おやすみ。





悠:……おやすみ。




― fin. ―


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