第17話

かぶと虫


今日はお楽しみの土曜日だ


妻からの電話


私の友達がお土産を持ってくるらしい。


今夜も楽しみだ。


気兼ねなくお酒が飲める!


お決まりの土曜日、お家居酒屋が開店


テーブルの上には大皿に盛り付けられた


鰹のタタキ



友達からの土産の高知産。


美味くて楽しい週末の始まり



……だったがいつもと違う事がひとつ。


妻がビールを飲んでいる


いつもなら台所から出てこない妻なのに、

この日は何故か同じテーブルを囲みご機嫌な様子で酒を呑んでいた。  



怖い、一体何が起きたのか?



昔は二人で良く外食に行き酒を呑んだが、

妻はそんなに強くは無かったはずだ……


妻の前には空き缶が沢山


そして、突然妻が


妻 はい、今日はもう終わりね!


いつもは先に休むのに今日はこの場を仕切っている


もう何時だろう?


友達も私もひどく酔っていて分からない


妻の一声で我が家の居酒屋は閉店。



不思議なのは、妻が呑んでいた事



散らかったままのリビング、気にした事も無かった。いつも妻が片付けてくれるから。


ふと気づくともう妻の姿は無く、寝たのだろうか?酔った私もそのまま寝室へ。



翌朝、リビングから聞こえる水音にぎょっとする。妻が朝から片付けた皿を洗っている音だ。



きっと、何か文句言われるんだろうなぁ……


少し片付けておけばよかったと後悔。



けれど妻は何も言わずに黙々と片付けている。



おかしい、いつもと違う



文句を言う気配のない妻と片付いたテーブルにほっとして定位置のソファーに座った私



しかし何か嫌な悪い感じ、後味が悪い……


考えすぎだろうか?



その日を境に妻は、毎日晩酌をするようになった。


飲み始めは明るく楽しく私に甘い蜜をくれる


だが、酔ってしまうと途端に攻撃的に……


何か不満があるのだろうか?


もしかして、私に不満が……?


やはり私は食われてしまうのかもしれない。




















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