遠い

貴方の未来の中に

私は十円傷のようなものを

施したのです。

塗装ごときでは消えないけれど

案外、直ぐに修繕できるような傷を


近い

貴方の過去の中に

私は包帯のようなものを

巻いたのです。

このようなものでは治らないけれど

案外、直ぐに痛みが消えるようにと。


弱者の中で渦巻く悲壮は

絡まり、穢れ、腐っていく。


無常。

無常である。

無常であった。

無常でありたかった。


無常に対する無情は

無情を憐れむ無常である。


遠くでカナリヤが泣いているのを

無視するのは人間だけだ


近くで子供が泣いているのを

無視するのは私たちだ。


笑うのも泣くのも怒るのも

全て因果か、偶然か。


前者であろうと、

私は泣かない。


後者であったならば、

私など滅びてしまえばいい。


ただそれだけの話なのだ。

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