3.義妹を抱く 前編.T
「おはよー、まさ兄ちゃんいるー?」
「おはよう綾姉、おじ…みやびさんならまだ朝食の片付けしててリビングだよ、てか早く無い?」
「いやー、早くまさ兄ちゃんがどんな姿になったか見てみたくてねー、そっかー、"みやび"さんかー」
「間違いなく驚くと思うよ」
「ほうほう、そりゃー楽しみだ」
と言いながら綾姉は家に上がりドタドタとリビングへ向かう。
「まさ兄ちゃんおはようござ―――エッ、まさ兄?本当に?エッ!メチャクチャ可愛いんだけど!え〜?」
すごく気持ちが分かる、俺だって余りの可愛さに信じられなくて固まったくらいだ。
綾姉に続いてリビングへ行くと綾姉の目が爛々と輝いていて、今にも飛びかかりそうな雰囲気を感じた。
「綾ちゃん久しぶり、ああ、今はお姉ちゃんと呼ぶべきかな」
「―――キャー!!声まで可愛いー!!
そうよ!私がお姉ちゃんよ!こんな可愛い妹が出来るなんて幸せ過ぎる〜!!」
「イヤイヤ、綾姉、おじさんなの忘れてない?」
「敏君なに言ってるの?こんなに可愛い子がおじさんな訳ないでしょ!やべー、買い物が楽しみ過ぎる〜」
「ハハハ…、お手柔らかに頼むよ」
おじさんも少し引いていた。
それにしても、まさか綾姉がこんなにすんなり受け入れるとは思わなかったし、逆にここまで気に入るとも思わなかった。
余計な心配をしなくて済んで安心した。
「み、みやびちゃん、さ、触ってもいい?」
「……いいよ、お姉ちゃん」
おじさんは少し悩んだ後に渋々OKを出した。
「大丈夫!お姉ちゃん優しくするから!」
「逆に怖いんだけど……」
綾姉はそう言っておじさんを撫でくりまわした。
「何この綺麗な金髪!白い肌!モチモチなほっぺ!柔らか〜い、ずっと触っていた〜い!」
綾姉は髪を撫で、腕をさわさわし、ほっぺたをつまみ、撫でくりまわした。
想像してたより激しめのスキンシップにおじさんは助けを求める目で俺を見ていた。
ごめんおじさん、俺は姉には逆らえないんだ、世の姉を持つ弟諸君なら痛いほど分かるであろう、テンションの上がった姉に逆らうなど出来るはずもない。友達が言うにはテンションさえ普通ならうちの姉は世の姉より大分マトモらしいけど。
しかしそれでも美少女に助けを求められて黙っているなど俺には出来ない、怒りの矛先を俺に向ける事で助けてみよう。
「あ、綾姉、おじ…みやびさんはまだ出掛ける準備も出来てないし、手を離してあげたら?そんなんじゃみやびさんに嫌われちゃうよ」
綾姉がコチラを向く、ちょっと目が怖いんですけど、覚悟はしてても怖いもんは怖い。
おじさんは嬉しそうにコチラを見ている……うう、可愛い。
綾姉はニッコリ笑い、手を離した。
「―――そーね、むしろ買い物行ってからが本番だし、今はこんな所にしときましょう、みやびちゃんに嫌われるのは嫌だし」
そのみやびちゃんはまさ兄ちゃんなんだけど綾姉は気にならないかのように接している、最後に会ったのが何年も前だからだろうか、俺は4月に1ヶ月間毎日顔合わせしていたからどうしても割り切れない。
「昔着てた服何着か持ってきたけど、着れそうかな?着替えるから敏君は別の部屋行ってて」
リビングを追い出された、おじさんは数着の下着と制服と体操服以外の女の子服は持ってないそうで、綾姉に買い物に行く服を持ってきてもらうようお願いしていたのだ。
「うわー、本当に肌白くてキレー、お尻小さくて身体のラインも細いし、あ、でも出るとこしっかり出てて羨ましい」
「恥ずかしいから、あ、あんまり見ないでくれると嬉しいんだけど」
「うんうん、もっと可愛くして上げるからね、期待しててね、はいギュー」
「わわ、ちょ、ちょっと、抱き締められると苦しいんだけど、緩めてくれないかなあ」
「ちょっと強すぎちゃった?よしよし、いい子いい子、じゃあ服着よっか」
「それでね、あんまり子供扱いしないで欲しいんだけど」
「今は妹なんだからこれでいいの。はい着替えて~」
部屋の外にいてもしっかり話し声は聞こえる。
相変わらず人の話を聞かない姉だな、おじさんもどう対処していいか困ってそうだ。
綾姉は165センチあるから150くらいのおじさんはいい感じの小ささなんだろうなあ。
「よし!こんなもんかな!敏君~入っていいよ~」
どうやら準備が出来たようだ、リビングに戻るとしよう。
「じゃーん、どうよ、可愛いでしょ~」
「ど、どう思う?自分だと全然分からないんだけど、似合ってるのかな」
「う、うん、凄く可愛い」
思わず言ってしまう、おじさんが女の子服を着て似合ってると言われて嬉しいものなのか分からないけれど、素直な感想が口を出てしまった。
「いや、なんだかね、服装を褒められると嬉しいものなんだね、それでね、あんまりそういう経験が無かったからこの感情は戸惑うね、これは」
少し頬が紅く染まっていてさらに可愛さが増していた。
そして服装を褒められ慣れてないからか、素直に嬉しいみたいだ、良かった。
服装は白い半袖のブラウスに黒の膝丈ワンピースとシンプルなものだった。
―――
綾姉の運転でショピングモールへ。
何故か俺も同乗させられている、元々俺は部屋の片付けを引き続きやる予定だったんだけど、綾姉が来なさいと言ってきて、敏夫君は行かないのかい?なんておじ…みやびさんに上目遣いで縋られたら断れるはずもなく。
多分おじさんも綾姉の暴走っぷりが怖いのだろう、しかし俺が姉のストッパーになると思っているなら大間違いだ。
しかも今回は女性服選び、俺が口を挟む余地は1ミリも無い、おじさんには悪いけど大人しく着せ替え人形になって貰おう。
女性服売り場の前で入店に抵抗するおじさんの腕を引っ張って無理やり入店させる上機嫌な綾姉と助けを求める目をしているおじさんを店の前で手を降って見送っていると、敏君も来る!と綾姉に脅されたので仕方なく入店する事に。おじ…みやびさんに恨みがましく睨まれたけど助けるのは無理なのでこればっかりは仕方がない。
もの凄い場違い感だけど2人に付いている限りはそう変には見られないだろう。
まずはバストサイズを測るところから、俺はカーテン越しにしかと店員さんの声を聞いた、"E60"うむよく分からんけどEカップなのだなと理解した、あれだけ大きいんだから納得です。
そして身長は150センチピッタリ、そして見た感じ身体の線は細い。小さくて細いのに大きい、素晴らしい。
もしかしなくてもとんでもなく男の理想型ではないでしょうか。
店員さんのテンションもおかしな事になっていて不安になる、綾姉と同タイプなのか。
そうこうして綾姉がおじ…みやびさんの下着選びをしまくり、更に店員さんと一緒になって洋服を着せ替え人形状態のみやびさんに着せまくり、みやびさんのカードで購入しまくるという事をしていた。
そして俺は衣服が詰まった荷物を大量に抱えていた、なるほどこの為に呼ばれた訳か。
とはいえ、みやびさんのファッションショーを特等席で見られたので満足していた、いいんです、中身がおじさんでも見た目は美少女なんだから。
ちゃんと着替える度に可愛い綺麗似合ってると褒めに褒めた、勿論本音で。
褒められて顔が紅くなる様がとても可愛くてさらに褒めるとカーテン奥に引っ込んだりして本当に可愛い、本当におじさんか?
段々と着替えに慣れてきたのか、"どうかな?"とか"こんな感じかな?爽やかだね"とか言葉が増えていくのも良かった、正直ドギマギした、おじさんの口調が似合いすぎていて姿も相まって俺の心臓に悪い。
ただ直ぐに猫背気味になるので綾姉と店員さんに背筋を張って!と矯正されていた。
「あのね、気になったんだけどね、なんだかスカートばっかりじゃないかい?」
「みやびちゃんくらい可愛い子にはスカート1択です!それにスカートなんて若い今しか履けないんだから!」
なんて力説している、そういえば綾姉もスカートを履いていた、まだ大学1年の18才だもんね。
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