後書き

 *


 最後に、■■山について留意点がある。

 恐らく、いや間違いなく――この原稿を読んでいる者の中には察している人がいるだろう。■■山の所在について。固有名詞を限界まで排除し、場所を特定されないようには努めたが、それでも限度がある。逆算的に証拠を照らし合わせれば、すぐに情報が一致するだろう。

 ただ名を知るだけなら、問題はないはず。実際に、筆者や佐々木は今のところは無事だ。だが、現段階以上に■■山、そして青い女に関わってしまったら……どうなるか分からない。「好奇心は猫を殺す」ということわざがある。万が一にも、■■山を知っている者の中に、この原稿がきっかけで、興味本位に青い女の調査を続行する者が現れるかもしれない。


 そこで、私は警告を残すことにした。


 次のページに、無加工の青い女の画像を掲載する。これは最初に掲載したものとは違い、彼女の〝顔〟が写っているものだ。少々、気味の悪い画像のため、配慮の意味を込めて顔の部分を黒丸で加工したのだが――あの画像では青い女の本質的な部分は何も伝わらないだろう。一話分の枠を取るので、閲覧したくない者はそのまま読み飛ばしてもらっても構わない。

 現在、青い女を直接写した媒体は我々の調査では確認できていない。AIが作り出したものではあるのだが、これが唯一の現存する資料である。個人的な考察にはなるのだが、恐らく、この画像には何の特別な効果はない。直接、彼女を撮影したものではなく、AIというフィルターを通しているためだ。しかし、画像自体は青い女を何らかの形で撮影したものを元に学習し、作成された副産物の可能性が非常に高い。あくまで閲覧は自己責任であり、不可解な現象が発生する恐れがあるということだけは肝に銘じてほしい。

 

 私の夢の中に現れた青い女は実際にこれと非常に近い造形をしていた。もしも、貴方が■■山を訪れようと考えているのなら――彼女と遭遇するかもしれない。

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