ep20 クラスと友だち?

 一クラスは35人位、全クラスでX組まであり、Ⅲ組以前が普通科でそれ以降が能力科だ。 俺はVI組で雪和と一緒のクラスだった。

 

 クラスに入るともうすでに仲良くなっている人や、ガチガチに緊張してる人、本を読んだり机に突っ伏したりして自らの時間を過ごす者など色々な人がいることを感じる。

 

 俺の席は真ん中の後ろの方で隣では陽キャっぽいギャル達が固まって話している。 俺は気にせず席に座り、カバンの中から本を取り出す。 あいにく自分から話しかけに行くようなタイプではないし、いざとなれば隣のクラスの健太郎のとこにでも行く。

その時だった。


 「なぁお前 」


 声が聞こえた方をちらりと横目で見ると、ギロリと睨んだままこちらを凝視して居る男子生徒がいた。 制服もすでに着崩している。 知らぬが仏、俺は何もしていない聞こえなかったことにしよう。 


 「あ?シカトか? 」


 「い、いやぁシカトなんてそんなことするわけないじゃないですかぁ…… 」


 無視なんて無理! この体の安全が保証できない!

 

「そうか、そんでお前名前はなんていうんだ? 」


 か、カツアゲ……!? そんな初日から…… ガクガク震えていると彼はチッと舌打ちをし頭をガシガシとかく。


「あぁもう…… なんでいつもこうなるんだよ…… 」


「え? 」


「話しかけちまって悪かったな 」


 カツアゲされるのかと思ったが、彼はただ名前を聞いただけだった。 ただ素直に話せない男子。 そんな姿になぜか自分を重ね合わせて不思議と親近感が湧いていた。


「俺の名前は鷹雨 藍斗っていうんだ。 お前の名前は? 」


「何だいきなり、さっきまで子鹿みたい怖がってたじゃねぇか 」


「俺は名前を言っただけだ 」


「あぁそうかよ。 ……俺は四谷よつや 礼央れおだ、よろしく 」


 彼は黒板の方を見ながらぶっきらぼうに答える。 その目つきは相変わらず鋭い。


 「昔からよ喋り方と声の低さでな、怖がられていたんだ 」


 「いや多分目つき…… 」


 「あ? 」


 「いやごめん 」


 その目で睨まないでください…… 寿命百年くらい縮むっす。


「高校に入ったら友達作ってやる、そう思ったんだよ。 あいつが、お前ならきっと友達になってくれるからつってたから 」


 「あいつ? 」


 「気にすんな 」


 習弥は顔を赤らめる。 彼女とかだろうか? それよりもお前ならってどういうことだ? 相手は俺のことを知ってる人?


 「あと、目つきが悪いのはメガネをかけてないからだ 」


 「あぁ、なるほど…… 」


 見えないから目を細めていただけか。 彼はポケットからメガネ取り出してかける。 真面目そうな雰囲気がより一層怖さを増していた。 ちょっと裏社会でリーダーやってそうだ。

 その時チャイムが校内に鳴り響き、若い女の人が入ってきた。

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