ep12 分身と落書き
部屋に戻って荷物をおいたあとエントランスにいた。 何をしに来たかというとお風呂に入るためだ。 でも予想以上に疲れていてとりあえずそこのベンチに座っている。 この疲れはさっきのが影響してるせいか、はたまた拘束具がないせいか。 拘束具は抑える負担を減らす働きのあるものだ。 気を張っていないと今のままでは明日は風が吹き荒れることだろう。
「拘束具、買わないとなぁ 」
でも高いんだよなぁ…… うーん…… そして目をつぶって考えごとをする。
「――――ひひっ、くふっ、アハハ! 」
笑い声が聞こえてゆっくりと目を開ける。 メノマエにはつんつん頭の男が立っているのがぼんやりと見える。 玄関から差し込む光が眩しくて目がくらんでしまう。
「え、今何時だ……? 」
「今は朝の6時だぞ、バッチリメイクも決まってるし今日はそれで行くといいよ……ぶふっ 」
「え、朝の6時……? 」
じゃあ、あの光は太陽の光だったのか。 そういやこいつだれだ? そしてなぜ笑っている? 俺は玄関においてある姿見で顔を見る。
「な、な、なんだこれは!! 」
俺の素晴らしい美貌が黒い様々な色ペンで彩られて西洋のヘンテコな絵みたいになっていた。 後ろを振り向くと指と指の間にそれぞれペンを挟んだつんつん頭の犯人がニヤニヤしていた。
「こんなところで無防備に寝ている君が悪いんだむひょひょひょ!! 」
ムキーッ!! 腹立つ!! その時廊下から音がしてそちらを見ると実夕、雪和、渚がこちらを見て手を口元に押さえていた。
「あら、素晴らしいお顔ですね♪ 」
「ねぇ、それどうやって書いたの!? 私も書きたい! 」
雪和に関してはちょっと、いやかなり引いていた。 結構精神的にショック。 人間はショックの次に来るのは怒り、その矛先はもちろん。
「待てやゴラァ! 」
俺は縄を持って追いかける。 むひょひょひょと変な笑い方をしながらシュルシュルと逃げるつんつん頭。 しかし、案外捕まるのは早かった。
「おい、人の顔に落書きしたら傷害罪って知ってたか……? 」
「いやぁ、知らなかったむひょぶふっ 」
有り得ない方向から声からも聞こえ後ろを振り向くとつんつん頭がニヤニヤしてペンをちらつかせていた。 いやこいつだってここにいるじゃん。 なんでお前そこにいるの?
目の前に現れた2人のツンツン頭。 その時だった……
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