第38話 時空間移動
代表の大神と留守役として残った副代表の小林に目礼し、後から会議室に合流した2名の隊長と神介に神谷が声をかけた。
神聖教団には2つのグループがある。神谷が率いる天津グループと、小林が率いる国津グループである。
神聖教団の隊員は全て古い神々の末裔といわれている。日本神話などに登場する神々は『天津神』と『国津神』に分類される。
天津神は高天原にいる神々や高天原から天降った神々であり、国津神は地に現れた神々の総称とされている。
因みに天津神と国津神の「津」は「の」のことで、天の神と国の神という意味といわれている。
天津神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)やイザナギなどの神々がおられ、伊勢神宮や伊弉諾神宮などの神社に祀られている。
また国津神は大国主命(おおくにぬしのみこと)やスサノオなどの神々がおられ、出雲大社や氷川神社なの神社に祀られている。
天津神と国津神に上下はなく、大まかな役割として、視野の大きな国家安寧や世界平和などは、主に天津神、そして良縁祈願、商売繁盛などの個人の具体的なお願いは、国津神の役割とされている。
神谷は、教団副代表であり天津Gのリーダーとして、1番隊隊長をも担っている。2番隊以下5番隊までの各隊長を含む隊員は全て、天津神を始祖にもつ者たちである。
国津Gを率いる小林も、神谷と同じく教団副代表であり、6番隊隊長を担い、7番隊から10番隊までの各隊長を含む隊員全ては、国津神を始祖にもつ者たちである。
各々神々の末裔ではあるが、個体により神御力(かみのみちから)の強さには差異があり、教団長の大神と副団長の神谷、そして小林の能力は教団内でも大きく抜きん出ている。
さらに教団の強力な協力者とされる神介もまた、強大な異能力を持つとされているが、まだ未開花の部分が多いようだ。
様々な事件への対応として時空間移動を行うが、自らの能力で確実な移動を行えるのは教団においても2番隊隊長以下10番隊隊長までの8人のみである。
一般的隊員も自らの力で時空間の移動を行えなくはない。しかしその結果として、時の流れに流され、目標とする時空間に辿り着けず『時の放浪者』となり、二度と戻れぬ者も少なくないといわれている。
さらには、自らのみでなく、他の者たちも引き連れ移動できる能力を持つ者は、教団においては大神、神谷と小林のみである。
神介は今のところ、自らの個体移動のみ可能であり、果たして潜在的な能力がどこまで有しているのか未だ不明のままである。
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