第17話 時の修正と確定

 流れていく時空間の中、把握しうる無数の未來世界においては、ほとんど人間の存在を確認できない。


 ほとんどの未來が、人外の者達の支配による魔世界であり、生存する人間は魔物たちの食用として管理生育されているのみである。


 かろうじて無限の未來の一部にのみ人間世界が確認できうる例もある。しかし、この世界においても人類と人外の者達との闘いが続いている。


 大神一族は、未來においてわずかに残る人間世界を確認し、時間軸を遡ることにより、神の子探しを行った。


 神の子の存在するであろう世界を捕捉した後、その世界への時空間移動を行うが、時間軸に対する誤差は必ず生じ、その結果、異なる世界へ移動する確率も高い。


 なぜ神の子が、歴史の中で必要不可欠なのか? 古き神々の子孫達が総力を挙げて探す意味が、なぜあるのか?


 たぶん無限数に存在する世界、その中で人間世界は確実に激減している。遠く未來の世界群においては、人間世界は存在しない事実さえ、既に確認されているのかもしれない。


 時空間の移動は、異能力のある者や時空間移動装置を利用して行われるが、時空間移動先において、歴史を変化させる行為は、『時空間における絶対法則』により禁止行為とされている。


 この法則を時空間の中で護りし者が、即ち『神』と呼ばれる存在である。


 歴史を変える行為を『時の修正』と呼び、時空間の移動者が行った時間の修正を、神々が元に戻す行為を『時の確定』という。


 地球を中心とした人間世界を、異空間より侵略する異世界の存在が、強大な力をもって破壊し、様々な『時の修正』が行われている。


 この『時の修正』の結果もたらすものが、未來社会における人間世界の消失に直結している。


 従って人間世界を安定的に維持・存続する。そのために必然的に行う人外の者との闘いと殲滅こそが、神という存在に課せられた役割といえる。


 古き神代から果てしなく続く神と人外の者との闘い、その闘いの重要な役割を担うのが『神の子』である。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 記憶が、意識が、錯綜する神介。見守り、支援する神々の子孫である教団の仲間たち、父や母、姉を襲った人外のもの達、そして2つの世界に存在する神介と『時の確定』


 大きく動き出した安穏とした平和と惰眠を貪る人間世界。そして人知れぬ闇の中で繰り広げられる『時の修正』と『時の確定』


 人外の魔物たちの残虐で容赦のない人間社会への侵略。『神の子』とともに時の修正を阻む『時空間における絶対法則』を護る神の末裔たち。

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