第13話 恩人の来訪

数人の私を崇拝する闇魔法士を尊敬程度まで調教し終わった後、ミリーナちゃんがなにやらこそこそとしていることに気づいた。別に乙女の秘め事を暴くほど子供ではない私は、気づいていないふりをして数日過ごした。


そして、なぜか目の前にはロジーナさんが来ていた。


「私の予想では、数日で奴隷に落とされるか殺されるかのどちらかだと思ってたんだけどね。意外としぶといわね。佳代子ちゃん」


「なんだか、とげのある言い方ですね。ロジーナさん。それで今回はどのようなご用件で?」


なんだか喧嘩をしているような言い合いだか、このくらいは普通なのだ(多分)


「別にけなしているわけではないのよ。でも崇拝してくれている子たちをあなたがないがしろにしていると聞いてね。ちょっと物言いに来たのよ」


ここでミリーナちゃんが何をしていたのかを察した。別に咎める気はないが。


「私は崇拝されるような人間ではないので、少し度合を下げて貰えるように交渉しただけですよ。ね!。」


私のもとに残った3人の医師見習いは首を縦にぶんぶんと振っている。


「あら。そうなの?。それであなたたちは魔力量が少ないようだけど、佳代子はそれを知っているのかしら?」


3人はびくびくしながらも首を横に振る。


「だそうよ。佳代子は知らないかもしれないけれど闇魔法士は魔力量が少ない傾向にあるのよ。それは邪神の使徒だからとか言われているけれど、理由は魔力量の多い魔法士を私がかこっているからね」


あんたのせいかい!!と思わずにはいられなかった。


「それでロジーナさんはなにがお望みで?」


ロジーナさんは椅子の上で足を組み替えてこういった。


「その子たちを私に貸しなさい。3日であなたを送り出した時くらいの魔力量に仕上げて見せるわ」


ロジーナさんはどや顔でこういったが私の予想が正しければ3日と言わずにたった今、サインを貰うだけで解決する問題だと思っていた。しかし、それを教えずに帰ってもらうのも悪いと思い、念のため契約書にサインをお願いして相談してみることにした。


ロジーナさんは渋々ながらも契約書にサインをして私に早く話すようにせっつく。


「えーとですね。契約書の効果で私の魔力を譲渡すればいいかと思いまして。私はこの街で治療行為を行った結果、魔力は大幅に余っていますし、契約書に逃亡を阻止したり、むやみな治療行為を抑止させたりする効果を付け加えれば彼女たちを守ることにもつながるかと思いまして。どうでしょうか?」


「問題ないように思えるけれど、死んだり医療行為ができない状態になったときには佳代子の元に魔力が戻るようには必ずしておきなさい。あなたの魔力量ならこの子たちよりも平気で長生きできるし、魔力量が多いといろいろと狙われやすいのよ」


「あの~。そんな話初めて聞いたんですけど」


「だって初めて言ったもの」


私とロジーナさんはなかなか相性が悪いらしい。

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