第12話 裏組織と弟子

私が毒耐性のスキルを取得するために弱毒を提供していることが、バカ冒険者から漏れてしまった。


私は一定の対価なしにはスキル取得の手助けを行っていなかったのだが、何処にでもそれを悪用する輩はいるものだ。


毒薬を販売して、それを飲み私の所へ運ばれてくるというケースが極端に増えた。毒薬も様々なものが使用されているため特効薬などの特定がしづらく治療には困難を極めた。


一番厄介なのは、人手が足りないことだ。私一人しか治療をする人がいないのにも関わらず、毒薬を販売しているのは組織ぐるみであり、しかも意識を混濁させるような毒薬ばかり使ってくるので契約書へのサインを取りづらい。


初めのころは1人ずつ胃洗浄を行い、透視と遠視の合わせ技で体内に毒薬が残っていないかを確かめながら治療を行っていた。


中ごろになってからは注射器の開発に成功したため、領主様に頼み医者を紹介してもらい胃洗浄を任せて、最終的な確認を私が受け持つようになった。


最終的には、患者はほとんど出なくなってようやく終結したのかと思っていたのだが、どうやら裏組織が別の領地に移動しただけらしく、私は治療の応援にいかなければならなくなった。


だが、別の領地では毒耐性のスキルを得られることが一般的に知られていなかったため、被害はほとんど出ることなく、裏組織は辺境伯の軍に討伐された。


流石にここまでの被害を出した原因である冒険者は死罪を免れないだろうと思われたが、私が作った契約書にサインをするという条件付きで生かされることになった。


と言っても、死ぬよりも辛い実験体になることを強要される内容に無理やりサインさせられただけなのだが・・・。


こうしたこともあり、私の診察を見て弟子入りしたいと申し出てくれる医者が数人いた。


私はその人たちの弟子入りを認め、まずは使用するポーションの見極め方を希望した冒険者とともに教えることにした。なぜならば、この世界では、ポーションの管理がなっておらず単に傷をふさぐためだけにポーションを使用しているからだ。


その結果、古いポーションを使っており、血を止めるだけで後は医者に頼りきり、もしくは、そのまま放置というのが形骸化していた。そのため冒険者を診察し、治療の方法を希望者に教えるのには苦労しなかった。


一部の医者はそれだけを学ぶことができ満足して離れていったが、何処にでも酔狂な人はいるもので私と同じ闇魔法を使う医者もどきが数人、私のことを崇拝するようになった。


流石に行き過ぎたものは止めさせて、私の代わりができるように教育していくことにした。

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