2023年5月24日

消極的なのだろう。


何もかも。


しかし、積極的とは、どういうことだろう?


何もかも、積極的に考えてしまえば。


危険を回避することなど、できなくなるのではないだろうか?


電柱に身を預けて座っている少女に、そう問うた。


彼女は口から血を流している。


それが、衣服を汚し、その場に赤い水溜まりを作っていた。


螺旋で仮留めされたような首を動かして、彼女は僕を見る。


目はしっかりと開いていた。


僕を見ている。


私を助けてくれないの、と彼女は言った。


助けられる術がない、と僕は反射的に答える。


これが、消極的ということだろうか?


しかし、客観的に考えて、彼女を救う方法など、僕にはないように思えた。


彼女の胴体には、あまりにも大きな枝が刺さっている。


そのせいで、細胞の多くが破壊されたのだ。


もはや、その枝が蓋となって、これ以上血は流れ出てこない。


侵入した枝の体積と、溢れ出た血液の量が、きちんと揃った結果だろう。


少女は手を伸ばし、僕の腕に触れる。


冷たい、と僕は感じる。


抱き締めてくださいと言われたから、僕は大人しくそれに従った。


これは、積極的だろうか?


自分から、自ら、自ずから、積極的に動いている、とは考えられない。


動かされているのだ。

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