#31 勧誘の承諾
あの後、森の中でレツハさんと会い、私たちはメディさんたちが逃げた方向へと向かっていた
「お前、どこいたんだよ」
「ずっとめちゃくちゃ暗い森の中で彷徨ってた。自身の場所すら把握できなかったからすげぇ怖かったぞ」
「微塵も思ってないことを言うな。大体お前が捕まえられたからこんなことになっているんだ。反省することだな」
「なんだとお前!俺も捕まりたくて捕まったわけじゃねぇんだぞ!」
「単純にお前の力不足だな」
あったら早々に言い合いを始めるなんて…一体どこまで仲がいいのやら
「ちょっとお二人さん?今は言い合いしとる場合ちゃうで?」
「「部外者が口を出すな(じゃねぇ)!」」
まさかの人物が静止をかけるのだが、それも虚しく逆に強く言い返される。それを聞いたソルは、泣きそうな顔をいていた
「そんな強く言わんでもええやん…助けてや嬢ちゃ〜ん…」
「あはは…いつもはメディさんが止めてくれるんだけど、今いないからね…まぁ、着くまでの辛抱かな」
正直横でガーガーガーガーうるさいのだが、これはこれで戻ってきた感じがして、わたしはこの状況を楽しんでいた。
「っと、そろそろ見えてくるぜ。異形擁護派の人間の街じゃあ1番でかい街で、帝国側も攻めきれてない街、蒼穹の街『ヴァッサルーイヒ』だ」
「お〜…こんな街知ってたんだ…レツハさん、何者?」
「ちょっと顔が広いだけの普通の異形だ。本当だぜ?」
本当なのだろうが、いまいち信用できずにいた。まぁでも一旦信用しよう…その方が、なんだかいい気がしてきた
「さぁ、中に入るぞ、大丈夫だ。俺がいるし、ヘインもいる、信用問題は余裕なはずだ」
「あ、そのことなんやけど」
「さ!いくぞ!」
ソルが何かを言おうとするが、それもレツハさんに遮られてしまう。
「無視するんが好きなんかなこの人たち…」
「まぁ、仕方ないよ。レツハさんて、結構こんな感じだから…」
先のレツハさんの扱いといい、結構扱いがひどいから、私はソルに少し同情していた。
「まあええわ。後から嫌でもわかることやし」
「?どういうこと?」
「ああ、なんでもないわ。気にせんでええよ」
と、ソルが言ったの後、なぜかフードを深く被った
「ん?なんか懐かしい顔が…って、どうしたんんだその怪我!?」
「さっき、“
「応急措置はしたんだよな!?血は止まってるように見えるが…」
「とりあえず、な。ヘインはまだマシなんだが、この新人の傷が深いから治療してやってくれ。」
門に立っていた人が頷き、足早にわたしたちのことを中に入れ、医療施設へと案内してくれていた
「メイプル、気分はどうだ?」
「さっきまでは大丈夫だったんだけどねぇ〜…緊張が解けたからか、急に体が…」
「無理もない。お前はしばらくここで休んでてくれ。俺たちはソルグロスと話をつけてくる」
「うん。ありがと…ふわぁ〜…ヘイン、ちょっと、ごめん…」
「ん?メイプル?…なるほどな」
案内してくれてる途中に、私は睡魔に負けヘインの背中で意識が消えたのだった
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「…きたな、ヘイン。」
「すまん。待たせたか?」
メイプルを施設へ送り届けた後、ソルグロスと話をするために、とある場所に来ていた
「待ってないから安心してくれ。ところで、一体どんな話だ?」
「…俺1人じゃ決めれないことだ。お前にも、聞いてもらわないといけない」
「あらかた予想はついてるが…わかった、とりあえずこの先にメディさんもいる。入ろうぜ」
「ああ」
そうして俺たちは、宿泊所へ入ったのだが、中に入るなり、突然何者かが俺へと突っ込んでできて押し倒されるような形になっていた
「ちょっ!街中だここ!押し出すな!中に入るぞ!」
「…」
黙りこくっているが、その突進してきた人物はメディだと、一発で分かった。
「おおおお、アツいですなぁ」
ニヤニヤしながらレツハがこちらをみてきて、冷やかしながらそう言う。
「キモい顔をこっちに向けんな。お前には話してやらないぞ」
「ごめんて」
レツハにいい放つとわりと真面目な感じで謝られた。
「メディ、あの…そろそろ退いてくれないか?大事なこと話さないといけないんだが…」
「うん…傷は浅めなようですね。えへへ、久しぶりです。こんな…浅い傷で帰ってきたのは」
メディは少し嬉しそうにそういって、俺の上から退いた
「ソルグロスさんとの、ですよね。話は既に聞いてあります。中へ入ってください。ソルグロスさんも、待っていますので」
メディはそういい、足早に宿舎の中へ入って行き、それに続いて俺も宿舎の中へと入っていった
「きたな!待っとったで!」
「あんなことがあったのにもうそんなに元気なんだな…」
ソルグロスに関しては全く何を考えているかわからず、さっきの戦いがあったはずなのだがそんなことはなかったことのように接してくる
「異常なのはワイじゃなくてアンタの再生力の方や。はっきり言って早過ぎやでアンタ」
それは以前も思ったことがある。なぜか俺は、再生力が他の異形よりも再生力が凄まじいらしい。現に、大怪我も負っていた日も1日経たずに全回復していたし、欠損していた部位があったとしても半日も経たずに再生していた。
「さすがもワイでもそんなに再生力高くないで…っと、だいぶ話から逸れてしもたな。んで、なんや?ワイに大事な話があるって」
ソルグロスから切り出してくれてありがたい。だが薄々勘付いていてもおかしくはないな
「…勧誘のことに関してだ。“異形衆”へのな」
「決めてくれたんかいな?」
「ああ。と言っても、まだ俺だけの意見の話だ。メイプルは一応賛同してくれたんだが、レツハとメディの意見も聞いておきたくてな」
レツハはやっぱりか、という顔を、メディは驚いた様子でこちらを見つめていた
「この前まで勧誘に対してはすごく否定的だったのに、どうして今受け入れるって思ってるんですか?」
「状況が変わった。俺らにはこの短期間で帰る場所が全て人間に潰されてしまっただろ?拠点も持たずに活動するわけにもいかない。だから”異形衆“への参加を余儀なくされているっていう状況なわけだ。別にこの街に残ってもいいが、最悪の場合、ここの人間に迷惑が及ぶかもしれない。どいう手はずを取っても、最終的には”異形衆への参加“に辿り着くはずだ。」
「なるほど…」
メディは首を縦に振りながら、肯定の感情を見せた。正直、どう考えても”異形衆“への参加が1番の最善策だとは思うのだが…レツハは素直じゃないから、否定するかもしれない。
「レツハはどうだ?賛成か反対か、教えてくれ」
「…正直、反対寄りではある…ぶっちゃけた話”異形衆“って組織は結構怪しい。けど、状況が状況だ。流石に、肯定以外の答えは残ってネェだろうな」
やはり反対ではあったが、状況を鑑みるに肯定せざるをえないということで、渋々と言った感じで承諾してくれた
「…これがみんなの意見だ。ソル、どうする?」
ソルは黙りこくっているが、その表情は嬉しいという感情そのもので、ニコニコしながらブンブン頭を縦に振っていた
「答えは決まっとるやろ!ようこそ”
ソルは嬉々とした表情で、そういった
「ワイらの活動拠点に関してはどこから話せばええんやろうな…まぁこれからわかることではあるし、案内するんはまた今度でええな。改めてよろしく頼むわ!ワイはこのことを仲間に伝えてくるで!すぐ戻ってくるから、待っとってな!」
そういい、ソルグロスは足速に宿舎の中から出て行き、すぐにその場からいなくなってしまった
「…何はともあれ、これでまた色々できることが増えるかもな」
「ああ、新しい場所…か。まだ疑心暗鬼だけどよ、それでも怖いもの見たさでの興味は強いから、あいつの仲間と出会うの、少し楽しみなんだよな」
そうして、”異形衆“への承諾を了承した俺たちは、そこから新たな道を歩み始めたのだった
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