恐山トリップ 1
というわけで、さあ、貧乏学生、男四人の旅が始まりました。
そのメンバーは
1. コテコテ関西人 D君
2. イケメンハンドボーラー S君(言い出しっぺ)
3. プロ級ドラマー K君
4. 陰キャ野球部員&初心者ドラマーの那智
という個性豊かな顔ぶれ。
そして旅のお供をしてくれたのはD君の愛車
SUZUKI ジムニー(型式とか分かんないけどめっちゃレトロな奴)
しかもこいつ、車のくせにツースト(二気筒)でした。
バイクでは珍しくないかもしれませんが、自動車ではほとんど化石的存在。
※現在は排ガス規制に対応できないため製造されていません、多分。
具体的にどういう車かというと形は小さなジープ。
二気筒なのでエンジンを掛けるとポンポンポン……と漁船のような音がする。
後部座席の壁と屋根は分厚いシート状の幌。
しかもツーシーター(座席は運転席と助手席のみ)
なので四人旅の場合どうなるかというと二人は荷台で荷物扱い。
でも本当は四人乗りらしい……
なにそれ?どういうこと?
D君に尋ねると
「ワハハ。後部座席、邪魔やからのけてもうた」
と一笑。
おい、違反じゃねえのか。
「いや、たぶん大丈夫やろ。まあ座布団でも敷いとくか」
そう言ってD君は家から薄っぺらい座布団を持ってきて荷台に放り込んだ。
これ絶対、だいじょばない……。
というわけでD君運転、S君助手席。K君と那智が荷物というツートップ、ツーバックの強力な布陣で忌まわしき恐山トリップは口火を切られたのでした。
つづく
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