この哀しい物語は、美しい。

真名鶴さん、ミトさんがお勧めする作品を読まないワケにはいかない。
そう思い読み始め、すぐに夏の世界に引き込まれた。
ハードSFに毒された僕は、様々なことを考える。例えば十億年後の地球の終わり。ソーラーシステムの終焉。
むろん、そういう話ではないかもしれない。だがそこには、断ち切られるように突然終わるカタストロフとは別の、気づかぬうちに、でもゆっくりと確実にやってくる「お終い」に向かって流れる時間が描かれている。
暗喩かもしれないし具象かもしれない。ただいずれにしろ、読み手が逸らすこともできずに見せられるのは、不可逆的な最期であり、別れである。
この哀しい物語は、その哀しさすらも美しい。

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