好きです。ものすごく好きな作品です。

これは本当の掘り出し物です。

情景描写から何から、とにかく丁寧に切り出して研磨された美しい物語です。
ファンタジーであり、SFであり、郷愁であり、人を想う物語です。

喪われゆく「冬」は、それそのまま大切な友人の喪失でもある。

友人の変容と世界の変容は一体化しています。
それはつまり、世界の喪失は友人の喪失と同義だということ。

見守るしかない終焉への道のりを、しかし主人公は悲嘆ではない静かな明るさで歩んでゆきます。

だからでしょうか、ほんのりと淋しくも愛おしさと温かさのほうが勝るのは。

ああ、でも少しは涼しくなってもらったほうがいいのかも知れませんね。

必見です。

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