【完結】アンデッドダンジョンの最深部でパーティ追放されてボコられて放置された結果、俺を拾ったダンジョンのラスボスの女の子が俺のご先祖様だったから後継者に指名された件。今日から俺がダンジョンマスターだ。
第41話 慈愛の女神の心の星【※※※ほのか一人称視点】
第41話 慈愛の女神の心の星【※※※ほのか一人称視点】
当たり前のこと言うけど、私はこいつの事、許せない。
裸で床に転がっている和彦君のことを見る自分の視線が、どうしても冷たいものになってしまう。
でも、どうしたって仕方がないよね。
自分の白骨化した手を見る。
私は犬のアンデッドモンスターの一種、ヘルドッグに生きたまま食べられた。
手だけじゃない、腕も、足も、お尻も、おなかも、全部食べられちゃった。
和彦君に飲まされた毒薬。
それは全身が動かなくなる、でも痛みの感覚は残るっていう、最悪の毒薬だった。
おなかの内臓を、生きたまま食いちぎられ、むさぼられたこと、ある?
人生で空前絶後の恐怖心、おしっこ漏れそう、でもね、内臓を食いちぎられちゃってるからおしっこすら漏らせないの。
最悪すぎやしませんか?
太ももやお尻の肉にモンスターがかぶりついてさ、くちゃくちゃと咀嚼されるのをただただ絶望と痛みの中で眺めることしかできなかった。
すぐに意識を失えればよかったんだけど、下手に自動体力回復のピアス――超レアアイテム――をしていたから、すぐには死ねなかった。
あ、そのピアスはアンデッドになっちゃった今は外しちゃってるけど。
この身体、回復魔法とかは逆にダメージになるからね。
ま、それはいいとして。
慎太郎君のご先祖様が、
「ほのか、どうしてやる?」
と聞いてきた。
「私、和彦君のことは殺したいくらい憎い……」
思わず、正直なところを口に出しちゃった。
うん、女子高生の言葉としてはあんまり良くない。
だから、言い直した。
「八つ裂きにしてモンスターに食わせてやりたい」
うんうん、こっちの方がしっくりくる気持ちだ。
女子高生たるもの、自分の気持ちに正直にならないとね。
なにせ女の人生で一番の無敵状態がこの高校生時代だから。
あ、とかいっても、私の人生は終わっちゃったんだった……ほんとさー、
「八つ裂きにしても足りないです」
もう憎しみの言葉しか出ない。
そこに、ご先祖様がとてもやさしい声でいってくれた。
「ほのか、燃えるような憎悪はな、その炎で自分をも焼き尽くしてしまうんや。ええか、よく聞け、アンデッドキングとして今はアンデッドとなったほのかに命じる。ほのかは今後、自分で和彦を傷つけるのを禁ずる。むしろ、回復魔法をいっぱいかけてやるんや。愛情をこめてな、和彦にいっぱいいっぱい回復魔法をかけてあげてーな」
ご先祖様はいったい何を言っているんだろう。
このわたしが和彦君に回復魔法を?
でも、確かに、憎しみだけが存在理由のアンデッドって、あまりにも悲しすぎる。
ご先祖様のいうことにも一理あるんだろう。
そう思って、私は和彦君に向かって呪文の詠唱を始めた。
「慈愛の女神の心の星よ――」
と、そこにご先祖様がタブレットを操作して――まさに私を食い殺したモンスター、ヘルドッグを呼びだした。
そしてヘルドッグに指示を出す。
「お座り! お手! 待て! ……よし!」
ご先祖様の声と同時に、ヘルドッグは和彦君の腕にかみついた。
「やめろっ! いてえ! やめっ!」
ヘルドッグの鋭い牙は、和彦君の皮膚を簡単に破る。
血がどばっと出た。その血をベチャベチャとなめとったあと、ヘルドッグは和彦君の肉をはぐはぐと食べ始めた。
「この犬ころがっ! やめろ、くそ、俺はくいもんじゃねえぞ!」
叫ぶ和彦君。
「さんざん人を食い物にしておいて、自分が食い物にされるのはごめんこうむる……そんなのは通らんやな?」
ご先祖様はそういうけど、食い物にするってこういうことじゃないと思う。
さらに数匹のヘルドッグを呼び出すご先祖様。
「お座り! お手! ちんちん! ちんちん! ちんちん! ちんちん!」
「ご先祖様、それちんちんっていいたいだけでしょ……」
的確なつっこみをする桜子ちゃん。
そして、ご先祖様の「よし!」の声に合わせて、ヘルドッグたちは和彦君の腕やら太ももやらおなかやらにかみついた。
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