第3話 作戦

 俺の前にやってきたのは、長いポニーテールの少女だった。

 っていうか!

 俺の通っている高校の制服を着ている。

 あれ、普通の女子高生じゃん。

 そしてその顔を見る。

 ああああ!?


「ほのかさん!? 探索失敗してパーティ全滅で死んだって聞いたけど……!」


 高校の同級生だった、二宮ほのかさんだ。

 三か月ほど前に、俺とは別のパーティを組んでこのダンジョンに潜り、そして帰ってこなかった。


「生きてたんだ!」


 でも、ほのかさんは寂しそうな表情で首を振り、


「ううん、もう死んでるの」

「えっ……」


 ほのかさんは、俺の目の前に腕を差し出す。

 それは白骨化した腕だった。

 さすがにびびって言葉も出ない。

 俺がそれを見たのを確認すると、ほのかさんは恥ずかしそうに両腕を背中にまわして隠す。

 ご先祖様が、

「うん、ほのかはね、あたしの魔力でアンデッドとしてよみがえったんだよ。ま、体の方はわりとくいちらかされてたからなー」


 といった。

 いや、なにがどうなってんの?


「でも、ほのかさんのパーティはうちの学校で一番強かったのに……」

「うん、あのね、あの日はダンジョンに潜って地下四階だったかな、そこでヘルドッグとたたかったんだけど……私を含むメンバー全員が、急に身体がしびれてきて……それで、私もみんなもヘルドッグに殺されて食べられちゃったの」

「しびれ……どうして……」

「今思うとね、……ほら、慎太郎君のパーティのリーダーの和彦君、あの人から差し入れにもらったジュースのペットボトルに……一服盛られてたんだと思うんだ」

「なんで……?」

「前の日ね私が和彦くんにデートしようってしつこく誘われてて……それを断ったからだと思う」


 それで毒を飲ませて殺したってのか。

 和彦の野郎、あいつ人間のクズだな。

 和彦、春樹、美香子。

 あいつらは俺を殺そうとした。

 殺すだけならまだしも、痛めつけ、金品まで奪って。

 んでもって同級生のほのかさんも、パーティごと毒を盛られて殺された。

 こんなに簡単に人間が人間を殺して、なんの罰も受けないでいいわけがない。

 人が人をこんなに軽んじてはいけないんだ。

 あいつらは、またこのダンジョンに来るだろう。


「あいつらを……絶対に……許さない……」


 と、そこにご先祖様がのんびりとした声で言った。


「そうはいってもねー。あいつら全員聖職系の職業でしょ。あたしの呼んだアンデッド軍団とは相性が悪いんだよねー」


 そう、作戦を練る必要がありそうだ。

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