第6話 酒場、そして騒動の予感。
酒場。
俺は1人、ワレジ族の大男・ダンマの到着を待っていた。
なかなか来ない。
すでに待ち合わせの時間は20分ほど過ぎている。
酒場内は昼間とあってそれほど人は多くなかった。
所持金の乏しかった俺は200ルバーの水を一杯だけ頼んで、何もすることのない暇な時間がただただ過ぎていくのを待っていた。
というか水一杯200ルバー?
どう考えても高すぎる。
そういえばどの商品の価格もありえないほど
の金額だ。
水一杯200ルバー、
メロンソーダ一杯600ルバー、
ビール一杯1100ルバー。
引きこもりの俺はこの金額が元からのものなのか、値上がりを経たものなのかは分からない。
しかし、なんせこの国は、国王が“王国滅亡”なんて言葉を出すくらいなのだからかなり
経済的にも苦しい状況なのだろう。
俺はまるで人ごとのように、王都の深刻な
経済状況を想像しては、酒場の店主に気持ちばかりの同情を抱いていた。そのとき、
「おいこら!待てっ!」
酒場の外で男の大きな声が上がった。
「ま、待ってくれ!人を待たせてるんだっ!
聞き覚えのある声だった。
それもつい昨日出会ったやつの声に似ていた。
間違いない、あの大男だ。
「す、すいません、、お金ここに置いておきます、、。」
店主らしき男がこっちを睨むように見ているのを確認して、申し訳なさそうにしながら俺は外に駆け出した。
なんかめんどうなことになりそうだな。
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