耳鸣の怪

すきま讚魚

耳鐘の鳴らぬ間に啼け雉子鳥よ

 此度こたび語りやすは、現世うつしよ浮世うきよのモノガタリ。

 此の世は地獄と云いやすが、其処に救いは在るのかどうか——。




 山門いよいよ荒れ果てて、止住しじゅうの僧侶もまれなりと。


 南海道は土佐の国。北を山地に囲まれ南方には九十九洋つくもなだ、その陸ながらも四方を自然の脅威に囲われた孤島のやうな様相に、古くから流刑地として名を馳せた国でもござんした。

 切り立つ石鎚山の天狗岳に三嶺みうねに剣山。山岳修行、そして山の神々への信仰に深い意味を持つ場所でもごさいやす。

 へぇ、ワシは諸国を渡り歩いておりやす、一介の……謂わば破戒僧でございまさァ。まだまだ修行の身ゆえ、此度は旅の最中に此の山々に呼ばれ——或いはそう、導かれたとでも云いましょうか。

 おんやぁ、旦那にも何か聴こえやしませぬか?

 耳の奥底に鳴り響くやうな、悲しき哀しき彼の音が。



***



 時は室町、戦国時代——。

 古来より賑わった山岳信仰の霊所と云えど、時の濁流には逆らえず。戦さの煽りや宗派の争い事を受け、幾つもの寺が軈ては無人の廃寺と成り果てた。


「ここいらの山に棲まう古杣ふるそまは、人を祟り殺しちゅう」


 山に僧が立ち入らなくなって久しき頃、珍しく此の地を巡ってきた旅の坊主にそう一人の木樵きこりが語りかけたのである。


「古杣……確かに土佐には古きより古杣の云ひ伝えがありやすが。古杣は皆々が引き上げた夜中に山中で木を切り倒す音が響くと云ふ怪異……、其れらが人を祟り殺すとは此れ如何なるものにござんしょう?」

「夜中だけでねぇ、日中問わずだ。ありゃあそんじょそこらの古杣とは違う。其の音を聴いたと云ふ者が、何名も死んじょる」


 古杣とは、木樵が山を降りた後に「カーン、カーン」と木を叩き挽く音がし、その後まるで何かが切り倒されたかのやうにバリバリという巨大な音が聞こえると云ふものである。

 然し其の音を辿って山中に入れば、何の痕跡も切り倒された木すらも無いのだ。一説では此れは木樵が山中に忘れてきた墨差しに軈て魂が宿って古杣になると云ふものや、倒れてきた大木の下敷きになって死した木樵の亡霊が古杣に成るとも云われている。


「そらぁちぃと厄介な事になりやした。ワシは天狗岳の方へと御用がありやして、此の山を越えゆくのが一番の近道だと思いやしてねェ」

「坊さんや、それならば……猟師の兵吾朗っちゅう者を連れて行きなせぇ。奴は古杣の音を聴き乍らも、廃寺となってしもうた空河寺くうがいじにおった人間の中で唯一生き残っちゅう。山にも詳しく、古杣が出たとて成敗できよう」


 坊主は木樵の後に続き、山の麓にある兵吾朗の元へと向かった。

 話に聞いた兵吾朗はたいそう昔は快活であったと云ふが、今では古杣の音に四六時中悩まされ、少々塞ぎ込んでいるそうだ。

 じろりと其の両の眼が、まるで坊主を見聞するかのやうに上から下へとくまなく眺め回す。然し其れをを不快ともとらぬような飄々とした態度で、坊主は山への共を兵吾朗に依頼したそうである。




 カーン、カーン。


「坊さん、あんたにゃ今の音は聞こえたか?」


 山に入って一刻もたたぬ頃、兵吾朗は後ろを歩く坊主にそう問いかけた。


 カーン。ケーン、カーンッ。


「はぃな、確かに。しかと此の耳にて聞き取りやした」


 確かに音を聴いたと云ふのに、坊主は顔色ひとつ変える様子がなかった。

 否、事実其の顔色は一切窺えぬ。坊主は旅の僧にしては、些か軽装が過ぎる程でもあり、其の全てが白装束なのである。そして同じくして其の目鼻立ちを全て隠すかの如く、鼻から頭頂に掛けてを白い布でまるで木乃伊ミイラかのやうに覆っていた。

 軽装乍らも其の手には古びた琵琶がひとつと、背には大きな——此れまた古めかしい葛籠がひとつ。山歩きには不似合いな様相に、兵吾朗は不信感と気味の悪さを隠せぬやうな表情のまま先を歩いていた。


「古杣は、山での生活の多い此の地に語らるる伝承にございまさァ。旦那は以前は空河寺におりなすったと聞きやしたが、其の頃から猟師をしてたんで?」

「いや……俺も元は木樵だ。刃物と弓は使えたがな」


 うっ……と兵吾朗の表情が歪む。

 何でも古杣の怪異を目の当たりにしてのち、耳の奥に其の音がこびり付いたかのやうに響いて眠るに眠れぬのだと云ふ。


「くそっ、俺が何をしたって云ふんだ。物の怪風情が」

「旦那は寺の者の中で、唯一生き残ったとお聞きしておりやす。良ければ、何か解決の糸口が見つかるかもしれやせんでェ。此の坊主に何があったかお話しいただけぬでしょうか?」


 カーン、カーン、ケーン。


 耳の奥には甲高い音が鳴り響く。まるで忘れまいぞ、忘れまいぞとでも云ふかのやうに。

 足を留め、思わずと云った体で耳を塞いだ兵吾朗に坊主がふと思い出したかのやうに語りかけた。


「旦那は、耳鐘みみがね——と云ふ事象をご存知でしょうか?」

「耳鐘……?」

「ええ、此処より海向こう、京の都にも伝わる怪異にございやす。其の音は甲高く、悲鳴のやうに耳の奥へ響き。歳の同じ者が死した刻に鳴り、聴いた者が同じ歳の頃であれば同様に死してしまう——と云ふものにございやす。耳鐘……もしくは耳鸣みみなりと呼ばれておりまさァ」


 であれば旦那ひとり、生き残ってしまったのにも少々合点がいきやして。そう続ける坊主を振り返り、はっと兵吾朗は息を呑む。


「此れは……此の音は、古杣の祟りではないと?」

「山に入ってから不思議な氣ィを感じておりやす。此れは古杣ではなく——もっとそう、獣の氣に近いやうな」

「けもの……」


 其の表情に、坊主は薄い唇を持ち上げ静かに微笑んだ。


「旦那、なんぞ皆々に隠しておる事はございませぬか? 若し古杣で無い心当たりがございますならば、どうか此の旅の坊主にお話しくださりませぬでしょうか? ヒトの類いに他言はいたしやせん、何がしかの方法で此の事象を解決できうるかもしれやせんで」


 冷や汗が止まらない。まさか、まさかと兵吾朗はぶつぶつと独りごちた。


 ケーン、ケーン、ケーン。


 陽もまだ高い時刻の事である。然し山の中はひんやりと、まるで死の気配が混ざるかのやうにしんと静まっていた。


 ケーン、ケーン、ケーン。


 がくりと膝をついた兵吾朗は、ぽつりぽつりと昔の事を語り始めたのであった。




***




 俺ァ其の昔、空河寺へよく出入りをしていた木樵だったんで。

 和尚もね、寺の小僧どもも、何と云ふか其の……のほほんとして、其の日のお勤めをしてはきちんと一日を終えなさる。良く云えば無欲の塊、悪く云えば平和惚けしてるとでも云ふだろうか。

 いんや、その、貶してるわけではねぇさ。只、ほら此の辺りときちゃあ古くからの流刑地。良くない輩も混じっちゃぁいた。俺は腕っぷしが強くてねぇ、山の獣や落ち延びてきた武者を追っ払った事もあったもんだからよ、和尚も少々の粗暴さは見逃してくれてたんでね。

 或る時——思えばそうあの時なのかも知れねぇ。

 寺の御庭の木を切ってたんだ。俺は少々雑破が過ぎてな、どうせ切るんならと幹からがつんと真横に切ってしまってな。

 そしたらよ、倒れた木の下に居たんだよ。きじが。

 そうさ、雌の雉だった。勿論生きちゃぁ居なかった。そんでもって重ねて哀れな事に、其の雉の胴の下からは産んだばかりの卵も見つかった。

 和尚はたいそう死んでしまった雉の親子を憐れんだ。寺の敷地ン中で、御法度である殺生が起きてしまった。しかもかわいい盛りの雉だろう。

 供養? そりゃあ勿論したさ、和尚は懸命に供養なさったよ。だけどもそうさ——其の頃からか、あの音が鳴り出したんだよ。

 カーン、カーン、ケーンとな。まるで俺が切り倒した木の音と……雉の鳴き声みたいじゃぁねぇか。

 するとな、坊さんの云ふ通りの事が起こった。其の音が鳴る度にバタバタと——寺の者が不審な死を遂げ出したんだ。和尚は此れは雉の祟り、ひいては仏神に祈る境内での殺生に観音様がお怒りなすったと。其れはもう必死に必死に連日供養なさってな。

 だけども……死んじまったんだ。最後には其の和尚も。

 けれども音は鳴り止まねぇ、俺は恐ろしくなって山を降りた。寺の事も捨て置いちまった。

 音は三日三晩……いや其れ以上に鳴り続けんだ。そして音が止む頃には、必ず麓の誰かが死んじまってる。

 坊さんや、アンタ先刻「解決できるかも」と言いなすったな。できんのか? 此の音を止める事が。俺ァ恐ろしくてたまらねぇ……音が鳴る度に、次はとうとう俺の番じゃねぇのかってな。




 兵吾朗の独白を聴き終えた坊主は、依然其の口元以外は表情の窺い知れぬ様相でにこりと微笑んだやうだった。


「ご心配なさらず、旦那ァ。矢張り其奴ァ古杣ではござんせん、そらァ耳鸣と成った雉の祟りに違いござぁせんでェ。ならば——此度共に山に入ったご縁でさァ、ワシが其の御霊を鎮めやしょう」

「本当か、本当に坊さんが是れを払いきれると?」

「ええ、そうでさァ」


 坊主は再び、薄い唇の端を持ち上げ「ふふふ」と微笑う。


「旦那の言葉に嘘偽りが無ければ——ね」




***




 廃寺となりし空河寺。其処にはもう、境内の跡形すらも残ってはいない。

 曰く、伊予国の戦火の煽りを喰らったそうで、既に人の居らぬ寺故に再建される事も無いと云ふ。


 カーン、カーン、ケーン。


 音は一層、兵吾朗の頭蓋の中を揺らすほどに大きく響いていた。

 立てぬかと思うほどに眼が眩む。心の臓を鷲掴みされたかの如く、兵吾朗は身動きひとつ取れなくなったのである。


「それでは始めやしょう」


 スッと懐から出した札に、朱色の文字が浮かび上がる。

 まるで血管の筋すら透けてしまいそうなほど、坊主の其の手が白い事に兵吾朗は改めて気がついた。其の爪弾く所作と鈴の音に、異界の扉が開いたかのやうな異様な空気が辺りに充満した。

 つぃと空気を軽く裂くかのやうに、其の札が坊主の指先より流れ地の上に落ちると——どうしたことか、先ほどまでの苦しみと音が全て嘘かの如く止んだのである。


「耳が、耳が痛くねぇ……!」


 まるで人が変わったやうに兵吾朗の顔には血色が戻った。


「そらァ良かった。此処いらに漂う淀んだ氣ィは払いやした、今後は麓の人々も耳鐘に恐れをなす事はありんせんでしょう」

「坊さんは……実はどっかの徳の高い御仁だったのかい?」

「いんやぁ、云いやしたでしょう。ワシはしがない破戒僧、許しも教えもできぬ身、只々諸国を行脚しておる身でさァ」

「そ、それじゃあ坊さんには何かの」

「力なんぞありんせんよ、山歩きで古杣の怪に恐れをなすほどの……只の」


 ——ケーン。


 其の時、ひとつ耳の奥にか細い声が響いた。


 ——ケーン、ケーン。


「おんやぁ。旦那ァ、どうしなすったンで?」


 ケーン。


 はっきりと。はっきりと聴こえたのである。

 鐘の音でも、木を切る音でもなく、はっきりと理解してしまうほどの雉の鳴き声・・・・・が。


「嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ!」


 兵吾朗は驚愕の表情で懐から馴染みの小刀を取り出す。

 耳の中には此れ迄よりもはっきりとした、怨念に満ちた雉の鳴き声が響き渡る。

 其れは先刻よりも悍ましい、ずるりずるりと這い回るような瘴気と共に耳を揺らす。


「坊さん、あんた、何をした! 何をっっ」

「なぁんにも」


 小首を傾げた坊主の姿すら、歪み始めた視界の中で兵吾朗には正しく視えぬ。


「云いやしたでしょう、旦那。旦那の言葉に嘘偽りが無ければ——と。あんさんは心の底では、己の罪を罪と認めちゃァいなかったんでェ」

「こ、この化け物、っがああ!!」


 歪んだ視界の中、兵吾朗は手にした小刀を坊主に向けて一閃——したかのやうに視えた。


 ——ぞぶり。


「っはぁあ! なんでぃなんでぃ。雉も鳴かずば撃たれまい、人も誑かさずば討たれまい、ってなァ。結局のところ、オメェが罪を改める気ィはハナから無かったってこった!」

「ヒィぎゃああああああっっ」


 其の小刀と、腕と、片耳ごと……顔を抉り取られた兵吾朗は、最早此の世の物では無いやうな醜い叫び声をあげた。

 坊主は微動だにせず。只、其処に響くは怨みつらみを滲み入らせた雉の声と——人のモノではないみっつめの声。

 朧になりゆく視界の端に映る——己れが手にしていた小刀が血溜まりと共に飲み込まれてゆくのは、坊主が背にしたあの葛籠。


 化け物、化け物だ——。畜生、山に入った所からが狙いだったのか。


「いんやぁ」


 霞んだ景色、止まぬ耳鸣。

 其の向こうにゆるりと動く白が視える。


「あんさんがほんに罪を改めるのであれば……耳鸣はもう赦すつもりでおったそうですよゥ。ワシが最初に払ったんは、あの寺で殺され焼かれた和尚と伊予の残党達の思念だったンでさァ」


 ケーン、ケーン。

 ケーン、ケーン、ケーン。


 薄れゆく意識の中で兵吾朗は、其の声だけははっきりと最期まで聴いていた。

 自身の命を啄む雉の哭き声を——。




***




 今は昔——。伊予国の戦火より落ち延びた残党達は国境の山々に逃れ、其の身を隠したそうな。

 兵吾朗と云ふ男は元は木樵と云ふ身分から、お武家の家来に其の腕っぷしを見込まれ兵として仕える事になった者だそうでェ。

 ええ、ええ、そうでさァ。先の戦火で落ち延び、寺にやって来たのが兵吾朗とその周りの者どもにございやす。

 和尚はたいへん心の深い御仁で、彼らを厭いはせず丁重に手当てをして匿ったそうな。勿論、兵の中には心を改めた者もおったそうで。彼らは経を読み、よくよく和尚の手伝いもしておったと。

 然し乍ら、こんな世の中にございやす。彼らを善くは思わぬお弟子もおったそうで、またひとり、またひとりと寺から禅衆は去って行ってしまわれたそうでさァ。


 そんな中、兵吾朗は心改めたふりをしながら、それでも一矢報いるべくと刀を振るっておりやした。そう、境内の木で稽古をつけていて、その木を切り倒してしまったそうにございやす。

 木の下には哀れな雉の親子が。もう息も絶え絶えで苦しんでいたそうにございやす。然し兵吾朗はなんと、その雉の首を縛りあげて殺し、其の日の夕餉としてしまったンでさァ。

 悲しみに暮れた番の雉は、鳴き叫んでは吊るされた亡骸の元へ飛んできたそうにございやす。なんとまぁ、兵吾朗は其の番の雉すら殺めて食ってしまいやした。


 此れに気づいた和尚は、兵吾朗をはじめて咎めたといいやす。

 此の雉が境内に棲みついていた事、和尚ともあろう御方が知らぬはずはありんせん。和尚もまた、雉を落ち延びた兵達と同じやうに慈しみ、見守っておったのでございやす。殺生、しかも境内での其の行いは許せるものでは無いと。厳しく兵吾朗を諭したそうな。

 然し和尚は彼を追い出すでなしに、兵吾朗の今後を想い、せめてもの御慈悲があるやうにと雉の骨を供養し、改心を求めたそうにございやす。


 其の後に空河寺を襲った惨劇は——そらァ見るも酷いモンでェ。

 天井に壁にと大量の血が飛び散った、まさに地獄のような有り様であったと。

 そして彼を咎めた仲間すら斬り殺し、兵吾朗は寺に火を放って麓に降りたんでございやす。其の時には既に異様な音は山の中に何度も響き渡っておりやしたから、彼は其れすらも利用して平然と集落に溶け込んだンでさァ。

 まるで——古杣の祟りからひとり逃れたやうに偽って、ね。




「なぁオメェよゥ。悪党の死骸なんざァ、啄んだってオメェの嘴が汚れちまうぜェ。それで良いンかぃ」


 ケーンと強く囀るのは雄の雉。えにしと情を重んじるのも雄の雉——。


「彼は番や子だけでなく、和尚らも皆殺しにした彼が赦せなかったンでござんしょうなァ」


 血溜まりの中に哭く、その美しい色合いを眺め乍ら——坊主は傍らに置いた葛籠にそっと語りかける。


「けっ。結局のところ、呪い殺しちまえばテメェだって地獄逝きだってェのに……是れだから絆に甘ェ生き物ってェのは理解がし難ぇンでぃ」

「そない云うて……気の済むまで復讐を果たさせてやろうと、全部飲み込まなかったンはあんさんでしょう? 本当は——初手で殺すのも造作なかったんに」

「けっ! うるせェ五月蝿ェ! あとで俺っちが纏めて喰ってやろうって寸法なンでぃ! こンな山歩き、怨みの積もった鶏肉なんざァ滅多に出逢えねェかんな!」


 尚も喚こうとする葛籠の口を、坊主はそっと白い手で抑え塞ぐ。


「ンなっ……っ、ふぉぃ、コラ空也……っ」

「あんさんが殺めた命も、喰ろうた命も——永劫共に背負って歩きやすよゥ」


 山は鎮まり、音も無し。

 怨念も哀しみも、流れ流れて呑み込まれ——跡に遺るは乾いた風のみ。


「さぁて。天狗岳への道のり、案内人がおらんで見失うてしまいやしたなぁ」


 坊主は窺い知れぬ其の表情のまま、薄い唇で「ふふふ」と嗤う。

 背には、ふたつの咎人の魂を喰らった葛籠を背負い直し乍ら。


「嗚呼もう、オメェはンな事言ってねェで、とっとと成仏しやがれ!」



 がんなり声が、只の山々に響き渡る——。




  【了】

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耳鸣の怪 すきま讚魚 @Schwalbe343

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