第6話



 武器を一旦解除して、次の手を考える。


「これだけ撃ち合って何もないって事は大した能力はないってことでいいのか?」


 直接喰らってないから分からないが魔法系じゃなければいけるな。


「流石に温存してるって訳じゃないよな?」


 ちょっとした不安を口にしたが大丈夫だろうと思う。


 ここからは魔法も使って攻撃する。


 捻れのある太めの投槍を想像して物質化。

 それに貫通と速度のある魔法で闇の弾丸ダークバレットを纏う。

 今回はこれに名前をつけて、覚え易くする。


闇纏やみまとい魔装まそう螺旋ノ投槍スパイラルジャベリン


 全体を通して、黒光した貫通力に優れた捻れた投槍で、イメージは弾丸が螺旋回転で空気を切り裂き真っ直ぐ貫通する感じを槍に乗せた感じだ。


 これは名前の通り、これは投擲用の纏装になる。


 これをミノタウロスに向けて思い切り投げる。


 身体強化中の投擲に闇の弾丸ダークバレットの纏い効果で加速し、標的に向かって闇の一条と風切り音を残し、標的であるミノタウロスに到達する。


 ミノタウロスはこれに合わせて戦斧を振り下ろし戦斧で防御する。


 戦斧と螺旋ノ投槍スパイラルジャベリンがぶつかり合い、金属を削っているかの様な金切り音が鳴り響く。


 ミノタウロスの膂力と俺の魔装のぶつかり合いは俺の勝ちの様だ。


 しかし、これで終わりという訳ではなく俺の魔装はミノタウロスの武器である戦斧と持ち手である腕ごと打ち上げる。


「ブモッ!?」


 ミノタウロスは驚いた様子で打ち上げられた腕を戻そうとするがそれよりも俺の行動の方が早かった。


闇の領域ダークテリトリーからの『闇の荊よ縛れ!ダークソーンバインド』」


 ミノタウロスを腕が上がった体勢のまま縛りあげる。


 荊の棘が何とか抜け出そうとして藻搔いているミノタウロスを更にキツく食い込む。


「これで、、、終わりだっ!」


 そう言いながら、もう一度作った魔装を縛りつけているミノタウロスに投擲し、そのまま抵抗もさせずに魔石に変え、ミノタウロスの肉がドロップし、戦斧が地面に落ちた音が鳴り、宝箱が現れる。


 俺は武装を解除して、地面に座り込み、息を吐く。


「ふぅー。疲れた。」


 ミノタウロスは何度も戦った事はあるが魔武器持ちはかなり面倒くさかった。


 アレと近接戦闘とか俺には無理無理。


 あの膂力と魔戦斧という壊れない武器と打ち合うとか自殺行為でしょ!


 そもそもC級のミノタウロスで魔武器持ちってなに?


 たまたま俺は魔法とかスキルの力で勝てたからいいけど他のヤツだと近接の天才か魔法がないと殺されてると思う。



「さてさて、宝箱の中身は…」


 マジックテントとマジックバックのポーチタイプ。


 マジックテントは空間拡張されており、中は広くて12畳程のサイズがある。


 ポーチは同じ6畳サイズで色は黒色。


「今回は当たりだな。」


 出たものをマジックバックにしまって、しばらく休憩してダンジョンから出て協会に向かう。





 協会についたので買取の列に並ぶ。


 順番が来たので買取に出す物と魔武器も出して買取してもらう。



 魔石、下級ポーション、魔鉱石などのドロップアイテムは全て買取、靴と魔戦斧は買取してもらうが効果は知りたいので教えてもらう。


「こちらの靴は風属性が付与されたものになってまして、効果は速度上昇微アップです。買取は10万円になります。

 魔戦斧は、重量軽減の付与がされてるものですね。こちらは120万円で買取になります。」



 まあC級じゃこんなものなのかな?


 武器屋で見た事のある火属性の魔剣は販売価格が500万超えだったから属性無しだといい方なのかな?


 デバイスを渡して入金してもらい、協会を出る。


 絵梨香さんにはデバイスで闇属性が手に入った事だけメッセージでいれておこう。






 自宅に帰ってきた俺は、風呂で汗を流し晩御飯を適当に済ませて明日の予定を考えていた。


「明日からはB級と戦闘か……ん?」


 デバイスから着信を知らせる音が鳴る。


「誰からだ?」


 画面に表示される名前は神田真昼。


「もしもし?」


『あっもしもーし!瑛二ひさしぶりー』


 電話越しでも伝わってくる元気な声。


「久しぶりだな真昼。」


 神田真昼は俺の幼馴染で同じ探索者をしている。

 ランクはB級でもうすぐA級に上がるだろうと噂されている。


「それで?いきなりどうしたんだ?」


『いやーちょっと私達と一緒にダンジョンに行かないかなーってお誘いの電話!』


 何でも、メンバーの1人が実家に帰省するからちょっと休むらしくてその間の代わりに俺って事らしい。


「はぁあ!?それでなんで俺になるんだよ?

 そもそも他にもっと色んな人いるだろ?」


『そうなんだけどさー。他の人だとこのままパーティー組んでくれとか連絡先教えてとか面倒くさいんだよね。そもそも臨時パーティーだって言ってるのにさ。その点、瑛二なら大丈夫でしょ?ソロだし、幼馴染だし、パーティー組みたがらないし。』


「まあ理由は分かった。それに聞きたいこともあったしな。それでどこのダンジョンで何日行くんだ?」


『1週間くらいでダンジョンは竜の巣!の外周エリアかな。』


「竜の巣!?おまっA級ダンジョンじゃないか!

 流石に俺じゃ足を引っ張ることになるぞ?」


 竜の巣はフィールド型のダンジョンで中心に行けば行くほど強力な魔物が襲ってくる。

 そして、名前の通り、竜種しかいない。


『大丈夫よ!外周だけなら私達だけでも対処できるし第3エリアに入らなきゃ大丈夫!

 それに報酬は前払いで用意してあるわ!

 後、探索中のドロップアイテムとかは均等割ね!

 装備品とかのドロップは要相談で。

 食事もこっちで用意するわ!』


 竜の巣は中心から第5、第4、第3、第2、第1と5つに別れている。

 第1、第2は亜竜種、第3から飛竜種が出てくる。

 第4、第5は属性竜が出てきて、その属性に合わせた環境のエリアになっている。


 火竜なら火山、水竜なら湖、風竜なら森林で嵐、と色々出てくる。

 他にも、雷、氷、光、闇と竜がいるがこの辺は上位個体になるので滅多にいない。


「至れり尽くせりだな…。分かったよ。それでいい。前払いの報酬は何をくれるんだ?」


 まあ幼馴染の誘いだし、前払いで何か貰えるし、地竜種とはいえ竜種とソロじゃなくパーティーで戦えるんだ。それに食事もついてるしな。



『前払いの報酬は……』


 どっかからドラムロールが聞こえてきそうな言い回し。


『ドゥルルルルルル……』

 

 自分でドラムロールの真似までして…


『ジャンッ!なんとっ!属性宝珠です!

 あっちなみに属性は雷ね♪』



「………ハァァァァア!?」



 あまりのことについ大きい声をあげてしまい、隣に住んでる人から壁を殴られ「うるせーぞっ!」という声が聞こえた気がしたがそれどころじゃありませんでした。






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魔法属性が必要なユニーク持ちですが俺にはありません。ですがランダムボックスで未来に輝きが得られました! えす @orange3045

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