魔王と四天王

 所変わって魔王城___

 そこに円卓とその周りに三体のモンスターがいた。

 最初に体が岩で作られた巨体のモンスターが喋った。

 「ククク、今回の会議は何だぁ?」『岩の魔神 ゴーレム・マルティオス』

 その次にドラゴンが人になったような見た目のモンスターがマルティオスを落ち着かせる。

 「まぁまぁ、落ち着け、マルティオス。魔王様が何を話すか分からんぞ」『竜武人 ドラゴンマン・ハーラー』

 その次に、赤いローブを身に付けた美女が喋る。

 「それにしても遅いわねぇ、あのピエロ・・・」『獣使いの天才 ビーストテイマー・シャイン』

 すると、あるモンスターが入ってくる。

 「すまないな、遅れた」

 ソイツはピエロのような格好をしており、モーガン達を襲ったゴブリンとロックデビルを紐で縛っていた。

 「さぁて、このミスをしたバカ二体はどうしましょうかねぇ~」『奇術師 ピエロ・ライネル』

 「す、すいません!ライネル様!次こそはあの勇者を殺しますんでェェ!」

 「申し訳ありません!」

 「いや、魔王様の意向でお前らは処刑することになったわ」

 「ヒィィィ!」

 「いや、処刑は後だ」

 「ん?」

 ライネルが声の方を向く。そこには、黒いマントを身に付け、顔を見せないモンスターがいた。

 「魔王様!」

 「これより会議を始める」『魔王 ジェミー』

 「はっ!」

 「議題としては、勇者が現れたということだ」

 「ほう、勇者が」

 「あぁ、一刻も奴は討伐せねばならない」

 「それでは、この私があの勇者を倒しましょう」

 「ライネル、お前が殺ってくれるのか?」

 「はい。私めがあの勇者の頭を魔王様に差し出しましょう」

 「いぃや、俺が殺る!」

 マルティオスが円卓を叩く。

 「奴を倒して、俺を誇示する!」

 「誇示ねぇ…」

 「マルティオス、お前は殺れるのか?」

 「あぁ!あの忌々しい勇者の野郎を俺の怪力で潰してやります!」

 「そうか、分かった。ではマルティオス。お前から殺ってくれ」

 「了解しました」

 「それで、そこの雑魚二体」

 「は、はい!」

 「異空間送りだ」

 「い、嫌だ!や、やめ」

 ジェミーが掌を見せると、その途端。ゴブリン達は消えた。

 「では、行ってきます」

 そして、マルティオスは部屋を出た。

 「魔王様、良いのですか?四天王の一角を、いきなり勇者に差し向けるのは」

 「確かに、私も疑問に思います」

 シャインとハーラーがジェミーに問いを投げる。

 「フフフ、分からないのか?アイツは自分の力を弁えていない分からず屋だ。所謂『無能な働き者』と言ったところか」

 「はぁ…」

 「とはいえ。アイツはさしずめ四天王。それなりの結果は出すだろうな」

 「そうですね」

 そして、今日の会議は終わった。

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