第43話世界で一番可愛いメイドとバカ王子

みんなぁ♡初めましてかな?僕はつい先日キール王子の世話係になった、世界で1番かわいい新人メイドの名前はアーク!

アークちゃんって気軽に呼んでね♡


と言う設定を一切の恥ずかしげも無しにやっている、公爵家長男のアクト=ホワイトです。

いや〜王国の未来は明るいな!


そんな訳で帝国へと向かう途中の馬車の中


「なぁアクト……」

「えぇー!キール王子何度も言ってるけどぉ!僕の名前はアクトじゃなくてアークだよぉ!早く覚えて貰えると僕も嬉しいな♡」

「お前それ辛く無いのか?見てるこっちは既に限界なんだが……」

「えぇ!?もしかして僕可愛くなかった?」

「やめろぉぉぉぉ!!!俺はお前を可愛いと認識したく無いんだよ!その整った顔を上目遣いで傾ける仕草を今すぐにでも辞めろ!」


よしよし……

正体が俺だと知っている王子が相手でも、この好感触俺の方の作戦は上手く行きそうだな……


――――


「帝国の王子を惚れさせる!?」

「ああ」

「いや、お前そんな事も出来るのか?と言うかそんな事して何の意味があるんだ?」

「出来るか出来ないかと聞かれたら、んな事やった事がないから正直分からん。それと意味があるかどうかだが、この作戦が上手くいったらついでに帝国の王子の女癖の悪さもどうにか出来るとは思う」

「流石はお兄様!でも本当に大丈夫何ですかお兄様?もし襲われでもしたらシャロは!シャロは……!」

「大丈夫だ安心しろ。もし俺の身に危険が降りかかりそうになったら、俺は容赦無く王子の太った腹に風穴を開ける用意はできている」

「それならよかったですお兄様!」

「いや全然よくねぇだろ!絶対に辞めろよ!マジで!」


――――


その後も王子をからかいつつ、自分のかわいいの練度を上げているうちにいつの間にか帝国の目の前にまでやって来ていた。


「そろそろ素は隠してくださいね!キール王子♡」

「あ、ああ……それもそうだな。最後に聞くがアク……アーク本当に大丈夫か?」

「もちろんだよ〜。僕を誰だと思ってるの?世界で1番可愛い新人メイドのアークちゃんだよ?」

「分かった。……なら俺も俺にできる事を精一杯やってみるよ」

「頑張ってね♡」


そうして帝国の王城についた俺達は馬車から降りて、変態王子とエリス様の居る王城へと向かった。




「ようこそ帝国へ、わざわざ遠方よりおいでくださいました。この度はうちの息子とそちらの娘さんとで結婚出来たこと大変喜ばしい事ですな」

「そうだな」


こえぇぇぇ!

国王陛下ブチギレじゃ無いですか!

いつも言わなくてもいいこともべらべら喋るお喋りモンスターが、一言「そうだな」ってマジギレじゃ無いですか!


そんなうちの国王陛下をブチギレさせた相手は、チビデブハゲの3大男のダメな所全部乗せの王子の生みの親である帝国の現国王、こちらは残念な愚息とは違いナイスミドルなイケオジで、なかなかのやり手だと言う。

まぁそんな奴が相手じゃなかったら、うちの国王陛下は結婚を突っぱねたとは思うけどな


そんな訳で話は進み、そろそろ外交の話が始まりそうなタイミングで俺達メイドは退出を促され、そのまま部屋を退出させられ、俺達メイドにわざわざ用意された部屋へと通された。




そして部屋に残されたキール王子は、今回の作戦で唯一作戦が上手く行こうが失敗しようが、どっちにしろ大怪我を負う役目、今回の作戦で1番厄介になるであろう帝国現国王の足止めを行う為に、キール王子は恥を捨ててバカになった。


「それではこれから真面目な話をしますが、今回の結婚を気にうちとしては、是非とも王国とも仲良くしたいのですが……」


そう帝国国王が話を進めた瞬間、キール王子は帝国国王の話を思いっきり遮り話し始めた。


「アレですよね!うちの可愛い妹をもらう代わりに帝国が、トワイライト王国の属国になるって話ですよね!」


王子のそのどう考えてもあり得ない発言で一瞬部屋の空気が氷点下を下回った。

だが流石は帝国国王だ、一瞬固まってしまったがすぐに持ち直して、少し嫌味も含めながら切り返して来た。


「ハハハ、王国の次期国王はユーモアに秀でた人物だったのだな」

「あははは!ねぇねぇパパ!ボクちんユーモアに秀でてるんだって!よかったね帝国の女を食うしか脳の無いバカ王子と違って、僕は帝国国王から直々にユーモアがあるって評価されちゃったよ!王国に帰ったら国民みんなに自慢しちゃおーっと!」


一瞬自分の息子がバカになった事で固まったが、よくよく考えてみると息子はずっと前からいきなり公式の場でもバニーガール衣装を着る様な変態でバカである事を思い出したアレクは、特段自分の息子がバカにされた所で事実だしな……と思い特別ダメージは無かったが、帝国国王の方は自分の息子の事をバカにされて、額に青筋を立てているのを見たアレクは、なぜキールがいきなりこんなバカな事をし始めたのか分からないが、ほぼ脅しの様な内容で、誤解だったとしても過去に酷い仕打ちをしてしまいその反動と、唯一のまともな娘で溺愛しているエリスを取られたことにキレていたアレクは、キール同様に馬鹿なふりをして帝国国王を煽る事にした。


「流石は俺の息子だ!お前は髪もフサフサで高身長で筋肉もがっしりと付いていて、尚且つイケメンだ!それだけでも最高な息子だったのが、まさか帝国国王から直々にユーモアのある人物という評価を貰ったとは!偉いぞ!」

「えへへへ、ありがとうパパ!僕将来はチビでデブでハゲで女を食うことしか脳の無い男にはならない様に頑張るね!」


その後も話を進め、王国に都合の悪い話が出る度にキール王子とアレク国王陛下の、夢の親子タッグでバカなフリをして散々煽りに煽りまくった。


その結果全く話し合いは進まず、結局話し合いが終わるまでに本来ならば2〜3時間で終わる予定だったのが、話し合いは2日目に突入する事になった。


アクト!出来るだけ早くしてくれ!

正直やる前は余裕だと思ってたけど、バカなフリをするのは結構辛いし恥ずかしい!

だからできるだけ早くしてくれぇぇぇ!!!

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