第33話ホーリーレイン(笑)
アイリス様に蹴られた脛の痛みにのたうち回っていると、教師陣から名前を呼ばれた。
「次アクト=ホワイト」
「あ、はーい今行きます」
そう返事をして脛をさすってから的の前まで向かった。
そこからは教師の1人が去年も聞いた内容を話していたが、俺はそんな事よりも隣2つの元々は的があったであろう場所の無残な姿を見て、1人内心驚愕していた。
あの2人やっば……
片方俺から近い方は地面が熱で少し溶けて黒くなり、更に的はドロドロに溶けて的だった面影は無くなっていた。
そしてその更にひとつ先の的は、本当に何があったかわからないが跡形もなく無くなっており、的の奥にあった壁には何か鋭いもので切り付けられた様な切り傷が幾つもあった。
多分これは、魔法の威力と精度からして的を溶かしたのがシャロで、的を細切れにしたのはユウリの仕業だと思う。
「アクト=ホワイト?大丈夫ですか?」
「あ、はい……それで的に魔法を打ち込んだら良いんですよね?」
「はい、準備が出来たら自分のタイミングで魔法を撃ってもらって大丈夫ですよ」
「分かりました」
さてこれからどうしようか、俺はシャロやユウリみたいに一発一発高火力じゃなくて、数で攻めるタイプだから単体火力だとそんなに無いんだよな……
的は厚みは目算で30cmはあるとは思うけど、俺の魔法でアレ貫通出来るかな?
まぁやってみたら分かる事か!
「えっとそれじゃあ始めますね」
そう言うとアクトはアイリスに見せつけるかの様に無駄な動きをし始めた。
背中に刺していた5本の杖を手に持つと、それを自分の周りに突き立て、その後はダンジョン周回で手に入れた必要のない指輪を数個取り出すと、それを空中に放り投げると、それを風魔法を使い側から見たら指輪が自分の周りを浮遊している様に見せかけた。
※この行動には何の意味もありません。
「えっと……神々の怒り悲しみ慈愛希望その全てが詰まった一撃でを喰らえ!ホーリーレイン!」
アクトがそう言い天に刺していた指を地面へと下ろすと、会場の天井を突き破って複数の光の柱が的へと降り注いだ。
…………………………はっず!
何だよ!ホーリーレインって!何が神の怒りや悲しみだよ!
これは単なる魔力の塊を飛ばしてるだけの、魔法とも言えない何かで俺のメインウェポンだよ!
詠唱して恥ずかしい思いしたアイリス様に見せつける為に、無駄に色々やったけどこれ単に俺が恥ずかしかっただけじゃねぇか!
あ、因みに俺が実際に命名したのは速射レーザーで、名前の通り一切のタイムラグ無しに魔力レーザーを放つだけの、カッコよさ度外視の実践向きの、威力◯精度◯スピード◯燃費◯の俺愛用魔法だ。
「結果、アクト=ホワイト魔法威力はBランクです」
「ありがとうございます」
教師陣に頭を下げて俺はアイリスさんの元へと戻った。
「はいアイリス様これで俺の一勝ですね」
「おいアクト=ホワイト」
「ん?どうかしましたか?」
「い、今の魔法カッコよかったぞ!いいな!神の怒りや悲しみとか!それにあの指輪が周りをふわふわ浮いてるのとか最高にカッコよかった!アレどうやったんだ?」
本来なら散々カッコつけてやり直しを喰らったアイリス様を辱めるためだけにやった行為だが、まさかそれが逆にアイリス様の心を掴むとはな…………。
とは言え俺も実際にやるのは恥ずかしいが、こう言うのを考えるのは大好きだ!
「いや、実はあの指輪を浮かすやつはさ……」
「うんうん!」
そんな感じで俺とアイリス様が厨二病談議をしながら、次の魔法操作の測定会場に向かうと、何だか人だかりが出来ていた。
何が起きたのかと思い周りに聞いてみたところ、今度はうちの期待の新人がやらかしたっぽかった。
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