第18話メイド服奪取作戦会議

黒歴史の暴露会が終わり、俺のメンタルを生贄にユウリとキール王子からの好感度が多分上がったと思う。


そんな訳で俺の前世知識云々はその殆どが、昔父上の書斎にあった本で勉強したからで済む様になった。


「それじゃあ今度こそ頑張ってダンジョン攻略を目指そうか……」

「おう!任せておけ」

「アクト様、私も頑張りますね!」

「シャロもシャロも!」


隊長のやる気が1下がった。

隊員達のやる気が1上がった。


そんなこんなで俺達は再度骸の墳墓へと向かった。


「確かアクトの見た本だと、このダンジョンは罠が仕掛けられていないんだよな?」

「正確には、この階層には仕掛けられてないだな」

「あ!敵が来ます」


ユウリのその声を聞いた俺達は、各々近くの隠れられそうなところに身を隠した。

俺とシャロは柱の影に隠れ、ユウリとキール王子は床に空いた穴の中へと入って、スケルトンが通り過ぎるのを静かに待った。


「ふぅ……行ったな」

「お兄様♡抱きしめる力が強いですよ!シャロはシャロは!」

「はいはい、それなら離れましょうねシャーロット様。……それと次は私ですからね」


上手く聞き取れなかったが、ユウリはシャロに何か耳打ちして、そのままシャロを引き剥がした。


その後も、ユウリの索敵に引っかかると俺達はその度に物陰に隠れ、隠れる場所がなければ全力で引き返す、それを繰り返しているうちに、目的のアイテムが入っている宝箱のある部屋の近辺までやって来ていた。


「あと少し……ここを左に曲がれば!」

「待ってくださいアクト様!」

「ん?どうした?」

「いえ、その……アクト様の言っていた部屋の中に敵が一体いるのですが……」


それを聞いた3人は顔を引き攣らせた。


「おいおい、マジかよ……ここまでようやく来たって言うのに……」

「どうしたらいいのお兄様?」

「ちょっと待て……少し考えさせてくれ」


どうする?どうすればいい?

今回ここまで来れたのは単に運が良かっただけだ。

もし、ここで湧き位置リセットの為にダンジョンから出たとして、もう一度ここに来るまでに何度かかる?


それならばいっその事突っ込んでみるか?

そうしたらもしかしたら、アイテムだけは奪取する事に成功するかも……いや、それだとしてもある程度は作戦は必要だ。


考えろ……考えろ…………

相手はスケルトンつまりはアンデットだ。

ならば聖属性の魔法……ダメだ今のメンバーに聖属性の魔法を使える奴は居ない。

普通の魔物なら光で目潰しをしたり、匂いで移動させたりとゲームでは出来なかった事も色々出来るが、相手はアンデット……ゲームでは効いた魔法もこっちの世界では効かなかったり、他にもバグ技やら裏技やらも使えなくなっていたので、正直俺達の今の手持ちだけだとスケルトン相手に持って10秒あればいい所だ。


その間にシャロが宝箱を開けれるかと言えば不可能だ。

普通の宝箱なら簡単に開けられるが、今回のは残念ながらエロイベントだ……。


宝箱を開けるのと同時に中から触手が出て来て、宝箱を開けたキャラのエロいシチュをゲット出来るイベントで、今回俺が欲しいのはそのイベントのついでに貰えるアイテム。

【猫耳猫しっぽ付きメイド服】だ!

ゲーム本編ならばヒロインキャラにしか装備できなかったアイテムだが、ここはゲームの世界だが100%ゲームの設定が対応される訳じゃない。

何故なら今俺が装備している身代わりの指輪は本来ならば、王族キャラであるエリス第一王女とアイリス第二王女、それにゲームでは仲間にならない為分からなかったが、多分キール王子も装備出来たであろうが、今は一応王族とは遠い親戚関係にはあるとは言え、俺も身代わりの指輪を装備する事に成功しているのが何よりの証拠だ。


女装するのは気が引けるが、それでも猫耳猫しっぽ付きメイド服の効果は、それを我慢するに値する効果を持っている。


説明しよう!

猫耳猫しっぽ付きメイド服には、全ステータスを上げる効果があり、その中でも1番伸びがいいのが総魔力量で、流石に魔法が得意なヒロイン達には及ばないが、魔法が苦手な剣やその他武器で戦う前線キャラと殆ど同じぐらいの量の魔力量が増える。

詰まる所、人1人分魔力量が増えるのだ!


魔力量がカスでミジンコな俺にとっては、喉から手が出るほど欲しいアイテムだ。


だから是非とも欲しいのだが、メイド服が手に入るのは触手に弄ばれた後だ。

つまりは触手に拘束された無防備な状態で、どうにか5秒間程耐えなければいけない…………ん?


5秒間?


「それだ!」

「どれだ?」

「作戦を思いついたのですね?」

「流石はお兄様!」

「まずは、作戦を話す前に少しこの指輪、身代わりの指輪について説明するが、これは1度だけ致命傷の攻撃を防いでくれるアイテムなのだが、実はこれ使用した後に外してもう一度装備すると、もう一度致命傷を防いでくれるんだ。」

「その指輪にそんな効果があったのか!まさかアクトそれも……」

「ああ、本で読んだ。だが、その仕様には1つ穴がある」

「「「それは?」」」

「戦闘中もしくはダンジョンでは、その効果は一切使えないって所だな」


それを聞いた3人は思った。

それを今話す意味はあるのか?と


「おいアクト、それがどうしたんだ?そりゃもちろん今の情報は助かるが、今は何の意味もないだろ?」


キールの意見にユウリとシャーロットも首を縦に振った。


「そうだな、今の情報は何の意味もないな」

「なら」

「実はこれ、使い回し出来るんだよね」

「…………なるほどな」


それを聞いたキール王子は納得した様な表情をした。


「え?あのどういう事ですか?アクト様?」


その質問には俺ではなくキール王子が答えた。


「簡単な事だ。つまりはこの身代わりの指輪と俺の王家の盾で時間を稼いでいる間に、宝箱から目当てのアイテムを盗むって事だろ?」


そうキール王子はドヤ顔で答えた。


「そうだなキール王子の言う通り、身代わりの指輪を使って、時間を稼ぐのはその通りだな。だが1つ違う点があるとすれば、キール王子、アイテムを盗みに行くとは、王子が担当するって所だな!」


それを聞いたキール王子は驚きの表情を見せたが、俺はそれを無視してユウリとシャロにだけ宝箱の概要を話して、その後に皆に今回の作戦を話した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る