第3話ちっぱいの柔らかさとは?

結局あのエロ本は何だかんだで抜ける為、もったいなく処分出来ず、部屋にあるクローゼットの底を取り外し、その中に鍵付きの箱に入れて封印する事にした。


「ふぅーこれで一件落着だな!」

「何が一件落着なんですか?お兄様」

「げっ、シャロいつからそこに?」

「今さっきですけど?」

「そ、そうか、それならよかった」


いやーあっぶね〜、確か原作ではシャーロットとアクトの仲は親の仇レベルで悪かったが、今の俺達は俺が昔から暇があればシャーロットに構いまくってたお陰で悪くないのだが、もしさっきの本が見つかりでもしたら、原作以上に俺達の仲は険悪……いや妹に対するくっそドヘンタイな妄想を書き連ねてるって事で、本編開始より前にこの家追い出されるんじゃね?


…………絶対バレない様にしよう。


「あ!そうだシャロ、お兄ちゃん今から魔法の練習に行くけどシャロもついて来るか?」

「はい!」


よーし何とか話題を逸らす事に成功した。


そんなこんなで部屋を後にした俺達は、中庭では無く家の裏庭へとやって来た。


「見ていろよシャロ!はぁぁぁぁぁぁ!!!秘技空中浮遊!」


俺は風魔法を全力で地面に向かって放つ事で、少しほんの少しずつだが、ゆっくりと風に押されて足が地面から離れる。


「どうだ?シャロ?」

「えーっと……すごいですお兄様!今日は5センチも浮きましたよ!」

「そ、そうか!」


昨日はたった4センチだったが、日頃の鍛錬のお陰で今日は5センチも受ける様になった。


とかまぁ、あたかもすごいかの様に言っているが、うちの家系ホワイト家は生まれ付き魔力量がカス並みしかなく、一般貴族達の魔力なら5〜6メートルを軽々と飛び越えるなんて事も楽勝で出来る為、普通に全然凄くないのだ。


と言うか今回の俺の婚約も、うちの家系に魔法を使える遺伝子を入れたいって目的の婚約だからな。


そんな訳でカッスい魔力しか持っていない俺はすぐにバテて地面に倒れ込んだ。

その様子を見たシャーロットがいつもの様にタオルを手にコチラへと近づいて来た。


「お兄様こちらタオルで……」


そう言ってシャーロットはタオルをこちらに突き出したのと同時に、足元にあった石に躓きそのままこちらの方へと倒れ込んできた。


「きゃっ!」

「うわっ、大丈夫……か?」


シャーロットが転けそうなのを助けようと伸ばした手は、シャーロットの成長途中の柔らかいちっぱいを力強く鷲掴んだ。


「ごごごご、ごめん!シャロ!」

「何がですか?」

「ああ、いや何でもない」


胸を触られた筈なのに何故かその事に一切反応しないシャーロットに、俺はホッと息を吐くとシャーロットから手渡されたタオルで汗を拭き取った。


「それじゃあお兄様、シャロはタオルを戻して来ますね」

「ああ、いつも悪いな」


手に残るシャーロットの胸の柔らかさに意識を持っていかれない様にしながら、タオルを大事そうに持つシャーロットに手を振り送り出した。


「それじゃあ、休憩も済んだし今度は炎魔法の練習でもするかなっと!」


俺は立ち上がり胸の柔らかさを忘れる為にも、再度魔法の鍛錬を全力でし始めた。


――――――――


アクトの自室、先程までアクトが横になっていたベッドの上で、1人の少女が部屋にあるクローゼットのそこから取り出し、アクトの汗を吸ったタオルを口元に押し付けながらその本を読んでいた。


「はぁはぁお兄様!お兄様がシャロに対してこんな///でもシャロはお兄様が望むのであればいくらでも……。それに先程もお兄様がシャロの胸を、胸を……」


そう呟くとシャロは本を持っていた手で自分の胸を揉み始めた。


「アッ///お兄様!シャロはいつでもお兄様を待っております///」


そう完全に自分の世界に入り込んでいたシャロだったが、アクトが書いた本をめくったのと同時に固まった。


「これは……確か今日お兄様の婚約者としてうちに来たエインズワースの?それにこちらは第一王女?」


ペラペラと本のページをめくっていくとそこには、シャーロット以外の女のアラレもない様相を書き連なれていた。


「……さない。…るさない!絶対に許さない!私だけのお兄様をたぶらかす女狐共!絶対にシャロがやっつけてあげます!待っててくださいお兄様!」


シャーロットは本を強く握りしめてそう誓った。

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