第20話 テイムの一幕

テイムに関する会議は割と早く終わった。その着地点は長であるマークさんをテイムして問題が生じなければ全員が傘下に加わるというものだった。そこで私は再度、爆弾を放り込まないといけない事に気が付いた。


「実は私のテイムスキルは、どういった条件下で働くのかが分かりませんが関係者も一緒にテイムされてしまうのです。そのため順番などは関係なくマークさんをテイムした時に皆さんも一緒にテイムされてしまうと思われます」


西のドワーフの皆さんは開いた口が塞がらない状態となった。


いち早く回復した長がガルフ戦士長に問いかける。


「テイムされて何か問題などは起きていないのですか?」


それを聞いた西のドワーフの面々はうんうんと頷いている。


「清美嬢は、我々に命令はしないしウルフたちを見ればわかると思うが知能が上がっている。我々にも良い影響が出ているとは思うのだがそれが何かは分かっていない」


悩んでいるドワーフたちをよそにマークさんは決めたようで皆に話しかける。


「我々は食料を恵んでもらう側だ。テイムされることは多少の問題とは言いづらいが、私は受け入れたいと思う。それはこのままでは私たちの集落は全滅してしまうからだ。そこから救ってもらうためならば受け入れたい」


これは感動の流れじゃないかと思っていたのだが、現実は残酷だった。


「元をいえば長が食料の備蓄をしっかりと管理、保存をしていなかったからこうなったんでしょ」


「長になりたてだからと言ってなんでも失敗が許されると思うなよ」


「それにラッドモールの侵入を許したのも、長が門番をしているときじゃないか」


この3連打でマークさんの心はへし折られた。しかし、ただでやられるマークさんではなかった。


私のもとへ駆け寄ってきて手を取り、魔力を流し始めた。


この流れはまずいと思ったが体が勝手に反応してしまい魔力を返してしまった。


「長。何を勝手に」


「ステータス」


___________

【テイム】

ウルフ  * 40

ピクシー * 30

ドワーフ * 27

___________


マークさんが皆にどやされているなかで私はそれを遮り真実を伝える。


「皆さん。今、確認したのですが手遅れでした。ここにいる12人のドワーフたちは皆、私にテイムされています」


一瞬静まりかえった後、マークさんのリンチが始まった。一部のドワーフは私の所に来ようとしていたがガルフ戦士長に止められて来ることが出来ずにいた。


私は一定の距離を保ち、ウルフにかばわれながら待機する。


マークさんの顔は集落のドワーフに気のすむまで殴られて、かなり膨らんでいた。

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