EX:2話 ifの世界「旅」

「何も民間航空会社を使わなくてもいいじゃないか。飛行機だったら僕が出せるよ。軍用機、輸送機、寒冷地対応のものまで南極に揃っている」


 東京国際空港のラウンジで銀次は外の風景を眺め、コーヒーを飲みながら隣にいる銀髪で前髪だけが紅い童女に語り掛ける。


「銀次には旅情というものが無いのかい? まあ極端なまでの合理主義だ。無理もない。今回、蒼時君は不参加らしいが子供が多い。彼女らに“普通の”旅行を味合わせてあげようって君の彼女が言っていたじゃないか。遠見家にミューズ探偵事務所。そして引率に私と君の上官だ」


「やあ、あの時はどうも。とても熱かったよ。リコルテ=クラスニー」

「ご丁寧に、Sir。自分たちもあの電磁波兵器で蒸し焼きにしてきたんだ。それを自分に使われたからと怒るのは筋違いだ」

「全くその通りだよ。可愛らしいお嬢さん」


 リコルテは不愉快そうな顔をして、Sirを睨みつける。


「私が子ども扱いされるのは、一番嫌いだと知っているはずだが……」

「はは、だから言ったのさ」


 Sirは金髪のオールバックを搔き上げ、目を細める。そこには一度殺された意趣返しも有ったのだろうが、軽口をたたき一緒に旅行できる程の確執になっているのを銀次は嬉しく思った。


「そういえばMr.銀次。彼女たちは?」

「切羅たちはお留守番です。めっちゃ行きたがってましたけど、今回の主役は子供達。引率にぞろぞろと大人を連れていくわけにもいかない。来夢はお勉強中だしね」

「切羅ちゃんだよね?……彼女めちゃくちゃ怖かったよ。銀次に手を出したら覇気だけで殺されかねないよ、あれ。それでも情報を集めるのが得意ってだけで、それに精通している私を選ぶのも君らしいね」


 銀次は腕時計に視線を落とし、約束の時間まで余裕が無いことを確認すると、スマートフォンで連絡を取ろうとするが、先に後ろから声が掛けられる。


「時間ギリギリになってすみませんでした!」


 桃色の髪に、桃色の瞳。未来を見通す天啓を持っている能力者。「遠見小春」が頭を下げてくる。銀次はにこやかに微笑みながら、小春をフォローする。


「いや、まだ遅れている英国人がいるんだよ。英国紳士の風上にも置けないな。獅子ヶ谷の皆さんもごきげんよう」


 未だ警戒心を捨てられていない、獅子ヶ谷桜、獅子ヶ谷椿、獅子ヶ谷菖。が守るように小春を取り囲んでいた。


「おや、随分警戒されているようだ」


 銀次はおどけて肩をすくめる。


「私がどうかしたかね?」


 既に隣の席で紅茶を嗜んでいるエドワード=ミューズの姿があった。その傍らにはメアリーとジェーンの姿もある。


「到着したなら連絡よこせよ! ……その長身とモノクルで僕が気付かないとはね。まぁ、暗殺歴としてはアンタらのほうが長いもんな、エディ」

「銀次くんは中々優しいね。殺した人間を集めて、子供たちに普通の娯楽を与えてあげたい。贖罪のつもりかね?」


 挑発するエドワードに対して鼻を鳴らし、銀次はその言葉を一蹴する。


「贖罪? 何を言っているんだ? 殺し合いで殺したからってなんの罪悪感を抱く? これはサービス精神だ」

「違いない。殺しの世界に入った人間が殺されて恨むなんて虫が良すぎるからね。さて、予約はしてあるのかな?」


 銀次は静かに首を縦に振る。


「一応ね。ファーストクラスの当日アップグレードだ」


 そこでSirはサングラスを掛け、旅行鞄を引きながらラウンジを立つ。


「では行こうか。Mr.銀次。私は日本語を話せないからよろしく頼むよ」

「空港職員ならば英語もできると思いますけどね……もとより私がやる予定でしたので」


 □□□


「なあ銀次?」

「なんだ? リコルテ」

「なんか私だけ値段ちょっと安くなかった?」


「あ、あー。君がレディだからおまけしてくれるって」

「……ふーん。私日本語出来るの忘れてない?」


 リコルテの刺すような視線に、銀次は冷や汗をかきながらその事実をリコルテに伝える。


「うん。わかってますよね……」

「嘘だろ。このガキんちょどもより私は幼く見られているのか? ていうかパスポートに年齢書いてあるだろ」

「若く見られるのは、いいことだよ」

「にしても……低すぎるって」

「大丈夫。需要はある」

「何も大丈夫な要素が無い……」


「さて次の便で行けるが、まあ入っちゃおうか」


 銀次が小春と獅子ヶ谷三名のチケットを取り、エドワードがメアリーとジェーンのチケットを取る。リコルテは自分の分とSirの物をとるが、その際に自分の値段がSirのチケットと違うことに気付いたようだ。


 □□□


 警告音が鳴り響く。金属探知機のゲートのところで銀次は足止めを食らっていた。


「お客様、金属製の物は外してください」

「いや、無理なんだって! え、てか君僕の事知らないの!?」

「知りません。有名な方だろうがダメなものはダメです!」

「“僕が”金属探知機に引っかかるの! わかる?」

「何言ってるんですか? 冗談はやめてください」


 銀次が金属探知機に引っかかり空港職員ともめていた。それを指さして笑っているリコルテと、心配そうな小春一派。エドワードチームは「まだかなあ」という顔をしていた。Sirはリコルテに訊ねる。


「あれ、Mr.銀次ってそんな世界的に有名になっているの?」

「ああ、そうか、君は知らないんだったね。君死んだあと銀次は全世界に宣戦布告したよ」

「え゛。なんで?」

「平和のためだって。現に、今の世界はものすごく平和。つまんなーい」


 頭の後ろで手を組み、フーセンガムを膨らませるリコルテと動揺を隠しきれないSirだったが、そうしているうちに奥から、事情を知っている上司の人が出てきて銀次に平謝りしている。


「世界の警察は、今やアメリカではなく、『白銀部隊』だ。Sir。今や戦術、戦略級の武器はどの国も保有していない」

「私の見えた未来と同じですね。でもそこまでの犠牲が許されるものなのか。ニューヨークを核で吹き飛ばしてでも、それによって泣いている人がいていいものか、と」


 小春がリコルテのところに近づいてくる。当然護衛のために獅子ヶ谷も引き連れて。


「こうなることを恐れて、私達は銀次さんと徹底抗戦することを決めました。でも、今は未来視が発動することもないくらい平和です。彼が正しかったのでしょうか……」

「……正しい。正しくないを決めるのは個人だ。その大多数の意見が正義、もっと集まり大義となる。言ってしまえば間違った人間などいないのさ」


 アメリカが裏切られ、ニューヨークが滅んだことを今になって知ったSirも心中穏やかではなかっただろう。


 だが、それでも。彼は正義に殉じ。銀次も正義に殉じたことはわかる。更に言えば主義者級能力者もそれぞれの主張があったから戦っていたわけなので、彼らを一方的に悪と決めつけるのも傲慢だと思っていた。


 銀次の次にエドワードが職員と話していた。彼のポケットからは滝のように小銭が溢れだしてくる。


「これは一体なんですか……?」

「セント硬貨。ペソ硬貨。フラン、レアル、ポンド、ルピー。世界中の硬貨を集めるのが趣味なんだ。文句はあるまいね?」

「ええ、問題ありません」


 その後他のメンバーも難なくゲートを潜り抜け、搭乗口のホールにたどり着く。足早にファーストクラスの座席まで歩いてゆく。


 銀次の両隣に、エドワードとSirが座り。Sirの横にリコルテが座っている。


 前列にはメアリーとジェーン。小春と獅子ヶ谷が座って、初めての旅行に心躍らせていた。幼き頃から戦争と闘争に身を投じてきた少女たちは、平和になった世界で漸く、子供らしく騒ぐことが出来たのだ。


 そこで飛行機のアナウンスが流れ、シートベルトを着用したのち旅客機は離陸する。窓から見える景色はぐんぐんと地上から離れていき、雲の上に飛び立った。


「最近の飛行機は喫煙もできないのかね」


 不服そうにエドワードが愚痴をこぼす。銀次は笑って受け流す。


「何年前の価値観だよエディ。まあ、僕たち喫煙者は肩身が狭くなったねえ」

「同感だよ、Mr.銀次」

「私は酒が飲めれば何でもいい。パリまで何時間かかるかわからないが飲みながら行こうじゃないか」

「頼むから泥酔して迷惑をかけるんじゃないぞ」


 その時、後ろのビジネスクラスから悲鳴が聞こえてきた。何事かと思う間もなく、ファーストクラスにも黒い目だし帽をかぶった体格のいい男たちが数名、侵入してきた。


 そのまま二人の男が拳銃を取りだし、天井に向けて発砲する。銀次達の他に乗っている乗客は頭を下げて蹲る。残りの覆面はCAを脅して操縦室の扉をあけさせ、中に入っていく。少ししてアナウンスが聞こえてくる。


『本航空機は私達が制圧した。白銀部隊の暴挙を許してはいけない。崇高な目的のためにはテロリズムは肯定される。死にたくなければ抵抗をするな』


「ええ!? めっちゃ僕たち荷物検査で引っかかったのに、こいつ等銃持ち込んでんの」

「引っかかったのはMr.銀次だけだが……」


 Sirもあきれ顔で銀次に苦言を呈する。


「何ごちゃごちゃ言ってやがる! 口を閉じろ死にてえか!」


(僕って一応、白銀部隊の長なんだけど、そんな知名度ないのかな……)


 リコルテが酒を呷りながら、ハイジャック犯を煽る。


「これだけの兵力相手に『ハイジャックしました』なんて宣言するなんて……」


 リコルテが偽悪的に口の端をつり上げる。


「なんて律儀むぼうなんだろうね」

「このガキ……。子供だから殺されないとでも……」

「違うよ、テロリスト諸君」


 銀次が紅瞳を細める。


「これから君たちは子供たちに殺されるんだ。良いか、獅子ヶ谷。メアリー、ジェーン。任せても? 僕たちが事を収拾するのはあまりに容易い。何。ちょっとしたトラブルも旅の華だ」

「馬鹿にしやがって……クソどもが……」


 銀次に拳銃を向けたテロリストの腕が肘から切断される。


「がッ! あぁっ!!」


 獅子ヶ谷椿。紺色の長髪をした獅子ヶ谷の攻撃専門。使用武器は鉄線。


「何をされた? こいつ等!? ただもんじゃねえ。リーダーに連絡を」


 座席から弾けるように跳躍したメアリーは上段蹴りで連絡しようとしたテロリストの首を掻き切る。足にはセラミック製の仕込みナイフ。彼は膝から崩れ落ちる。


「何だコイツ。クソ程弱いじゃん。よくそれで白銀部隊に勝てると思ったな」


 口の悪いのはメアリー。仕込みナイフと格闘術で暗殺課、シエラ隊にも引けを取らない対人格闘のエキスパート。


 旅の邪魔をされ少々苛立っていた小春は、銀次に任されて指揮を執る。


「桜、そこの手負いから、情報を聞き出して。拷問してもかまわない」

「うん、わかったよ」


 片腕を失ったテロリストは毒を吐く。


「てめえらに話すことなんて何もない!」

「別にいいですよ。じゃあ残った指を何本折られたら本当のことを話しますかね?」


 獅子ヶ谷桜も非常に苛ついていた。かつて戦った強敵と親睦を深め、確執を無くそうとしているこの旅を邪魔されて。本来戦いも拷問も好きではない桜は躊躇なく、残った手の指を折っていく。彼は一本目で根を上げた。


「すいません! 赦してください! 後方のビジネスクラスとエコノミークラスにそれぞれ二人ずつ。武装は拳銃だけです。操縦室にはリーダーとサブリーダーがいます!!」

「そうか、報告ご苦労。さようなら」


 桜は敵の首をつかみ180°回転させる。彼は悲鳴を上げる間もなく絶命した。小春はそれを確認すると指示を出す。


「桜はここで待機。不測の事態に備えてくれ。操縦室には菖とジェーンさんが行ってください。ビジネスクラスより後ろは椿とメアリーさんに任せます」


「「了解」」

「わかったぞ。よろしくな。ツバキだったか」

「承知、し、ました。頑張ろう、ね。菖ちゃん」


 ツーマンセルの陣形を取り、前と後ろに分かれていく。少女たちの戦闘要員がいなくなった後、エドワードは口を開く。


「やはり、獅子ヶ谷も、うちの子たちも殺しに特化されている。とても悲しい事だね」

「それは彼女たちにも他の道があったかもしれない、という事か?」


 銀次は足を組みながら椅子を後ろに倒している。


「ああ、そうだ。君も仲間には恵まれたそうじゃないか。白銀部隊最高戦力、水瀬銀次とそれをサポートする四名の部下、羨ましいな」

「ああ……うちの最高戦力は僕じゃない。椎口だ」


 銀次は哀しそうな目をしながら話を続ける。


「マイクロブラックホール『開花』。アレは僕でも蒼時でも敵わない。彼女がうちで最強だ」

「ああ、裏切られたんだっけか」

「そうだね。合理と感情。一見合理のほうが上に思えるが、人の意思決定は感情が決める。それを僕は軽視していたようだ。……家族ごっこに過ぎなかったわけだ。所詮」


 それを聞いたエドワードは声を上げて笑う。


「家族ごっこ? 大いに結構じゃないか。私だってメアリー女史とジェーン女史とは家族ごっこをしてきたわけだ。大事なのは血じゃない。相手を思いやる心だよ」


 エドワードはモノクルを指で押し上げ、煙草に火をつける。


「Mr.ミューズ。ここは禁煙だぞ」


 Sirが注意するがエドワードはおどけた様子で答える。


「ハイジャックされてるのに、喫煙したくらいじゃ怒られんさ。あと何分でテロリストを制圧できるかねえ」


 紫煙を吐き出しながらエドワードは笑った。リコルテは酒を煽って、いい感じに酔いも回っているようで、眠り始めた。


 □□□ ビジネスクラス 椿、メアリーチーム


 ハイジャック犯は二人とも軍人崩れ。白銀部隊に入る道しかなくなった時に、リーダーが革命を起こすべく手を差し伸べてくれたのだ。


(今の世界はとても不健全だ。本来闘争とはあるべきものであり、その過程で世界は成長する。それがなんだ、今の世界は。管理社会ディストピアそのものではないか。我ら『漆黒の満月』が……)


 そこまで考えていたところでテロリストは自分の視線が落ちていくのを感じていた。


(え……床……紅……)


 椿が鉄線で一人の首を落とし、もう一人はメアリーが後ろから仕込みナイフで心臓を穿っていた。


「へえ、アンタの特技も暗殺なんだね。音の出ない致死攻撃。これはいいものだ。数的不利さえ覆す、特級の技術だ」

「お前もやるな。同年代に見えるが、獅子ヶ谷の血を引いていないでこれだけ強いのは初めて見た。能力者以外でな」

「まあ、エディには私とジェーン二人がかりでも傷一つつけられないよ。暗殺者は数多く見たが、彼が最高峰だ」


 乗客は悲鳴を上げていたが、テロリストを殺害したうえで、『白銀部隊』の名前を出したらパニックは収まった。


「護る為に殺すのか。度し難いな」

「奪うために殺すのか。分かり合えんな」


 二人は目を合わせた後、口角を上げ、後部のエコノミークラスまで駆けて行った。


 □□□ 操縦室 菖、ジェーンチーム


「準備、オッケー。CA、さん。離れて、危ない」


 ジェーンが向こう側からロックされている操縦室への扉のロック部分に指向性爆薬をセットし、信管を起動させると、空気の勢いよくはじける音と共に扉が開いた。


 向こうからは銃弾の雨が降り注ぐ。菖の大楯で、その全てを防ぐ。


「うわー。MGマシンガン持ってんじゃん。あいつ言わなかったな。ていうかほんとどうやって持ち込んだんだよ……」

「凄い、それ。良い、武器だね。日本人、にも、強い人。いるんだ、ね?」

「あージェーンだっけ、会話苦手なの? まあ椿と組まされなかっただけましか。あいつもコミュ障だからなあ……」


 銃声が止む、と共に菖は駆けだした。下から掬い上げるようにテロリストに突撃し、地面に叩きつける。その後、自身の全体重を乗せ、大楯でプレスし殺害する。


 髭を携えた大男は、狼狽しながら、全ての人員に連絡を取るが不通。この少女たちに元軍人が緊急連絡をする機会さえ与えられずに倒されたという事になる。


「お前たちは白銀部隊の殺し屋か?」

「んー。一応今はそうなるのかなあ」


 必死の形相が彼の顔に現れる。


「テロリズム、が悪いとは言わないよな。白銀部隊。武力でもって世界のすべての国を降伏させた貴様らにそれを言う資格などあるものか。我らは『漆黒の満月』見えなくとも在る者たちの群れだ。お前たちみたいなガキどもにはわかるまいが、戦争は必要なんだ。金のためじゃない。未来の発展のためだ。それだけじゃないぞ、司令官が一人という組織の脆弱性を……」


「あー。もう、いいよ。私達が君たち殺してる理由大層な物じゃないんで」

「う、うん。そうだよね」


「「フランス旅行を邪魔するな」」


 菖が盾でジェーンを弾き飛ばし、狭い操縦席に跳び入っていく。そのまま右手でリーダーの顔をつかみ爆発させる。防爆手袋と指向性爆薬の合わせ技で、人一人の頭ならば炸裂させられる。


「機長、さん。副機長、さん。大丈夫?」

「あ、ありがとう。管制塔と連絡を取って今すぐ東京に戻る」

「いや、ダメ。白銀部隊が責任とるって言っていいから、パリ行って」

「しかし、お嬢ちゃん。怪我人の手当とか」


「問題ありませんよ」


 後ろには銀次が煙草を吸いながら立っていた。


「もうすでにフランスの白銀部隊『狗』には集合命令をだしてありますし、負傷者も確認を取ったところゼロです。心の傷まではわかりませんが」


「ぎ、銀次様? 乗ってらっしゃったんですね」

「ああ、非常事態故煙草を吸わせてもらっている。死体ももうすでに私が貪食したのでありません」

「日々戦いに明け暮れた少女たちのささやかな願いです。どうかお願いできませんか?」


「き、機長……」

「わかった。心より感謝する。では本機は予定通りフランスに向かう。助かった」


「いえいえこちらこそ。ご迷惑をかけてすみません」



 ■■■ フランス パリ


 街並みは日本と全く異なり、白を基調とした石造りの建物が立ち並ぶ。屋根はカラフルな配色をしていて、まるで芸術作品だ。ベランダにはプランターが掛けられており、花々が咲き誇っている。


 風情のある石畳や、郵便ポスト。マルシェにはとれたての野菜や、果物が並び、どれも宝石のような美しさだ。


「はい。では自由行動。みんな楽しんできなさい」


 言葉に表すことはしなかったが、みんな新鮮な非日常の前に浮足立っているのが目に見えた。


 少女たちは殺人という日常から、旅行という非日常へ。

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