第50話 わたしよりも……

 あれはまだ、わたしが小学校の低学年くらいの時だったか。

 わたしはその当時からテレビゲームでよく遊んでいた。

 小さいながらも、結構頑張って進めていたと思う。

 だが、そんなわたしには、強敵がいた。


 母、だ。


 母はとても器用な人で、わたしよりも遥かにスイスイとゲームを進めていた。


 ある日、学校から帰ると母がゲームをしていた。


「えっ⁉」


 それは、わたしが見た事もない画面。

 なんと母は、わたしがプレイしているステージよりも、遥か先のステージを攻略していたのだ。



 それから●年後。


「もうね、今のゲームにはついて行けないのよね」


 と言いながらも、母はやはり、別のゲームでわたしより遥かに先のステージを攻略していた。

 わたしが途中で挫折したゲームだ。

 なんて人だ、この人は!


 それから●年後の現在。

 さすがにもう、母はゲームをしていない。


 と言いたいところだが。


 今はスマホゲームにハマっている。

 わたしよりも数年あとにはじめたにも関わらず、わたしのレベルはとっくに追い越している。


 本当に、なんて人なんだ、この人は!

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