隠されたノートの切れ端

◇レポート用紙の表紙に挟み隠された一枚だけの文書◇



私はイマジナリーフレンド、作られた友人の一人。


元は使われる願望だった。

1人目のイマジナリーフレンドは、「そばにいる存在」「たよれる人」

私は2人目、「冷静な人」「かしこい自分」。


「たよれる人」」は自分のために自分より激しく怒りを発す人物。

「冷静な人」はそれに水をさし、人への暴力を向けないための存在。


胸を張って歩けと言ったのは彼で、

       自分こそが一番かしこく、大人だと思えと言ったのは私だった。


偽物だと知っていて、妄想だった。

   あくまで、望むままに答えるだけの友人だった。


いつのまにか、名前を自信をもって言えなくなった。

  好きな物が分からなくなった。

                  嫌いな色がわからなくなった。

  性別がいまいち理解できなくなった。

                  良い事と悪い事があいまいになった。

 「私」は友人ではなく「私」となった。


      私は私達となった。


今もまだ妄想の途中かもしれない。その方がいいかもしれない。

けれど、私は今、自身をもって色を言える 名を名のれる。

   好きを好きと、 嫌いを嫌いと、 良いと悪いを、

         はっきりと言える。

私は彼女を愛していると言える。 私はこれでもいいと思っている。


   私はまだ、「私」でいたい。


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