第11話 私は振られてないし(多分)、友達だっている
この世界にはどうやら運命の強制力があるようだと気が付いた私。
そしてそれはつまり、やっぱり
もともとそうするつもりではあったけれど、一層しっかりやらねば…という気持ちは強まった。運命なんてものに推しを勝手に殺されてなるものか…!!
——————まぁ、やることはひたすら魔法の勉強と修行なんですけどね!!!
ヴィオリーチェに対してのお姉さまになって攻撃はあまりにも無視されるので、さすがに休止している。…別に振られたと思っている訳じゃないよ?振られてないよ?
振られてはいないはずだけど、これもきっと運命の強制力ってやつが、私が主人公で、ヴィオリーチェはライバルであり敵役だから、姉妹とかそう言うのじゃないでしょって邪魔してるに違いない。きっとそう。
私はそう自分を必死に励ましながら、今日も放課後のお勉強会を楽しみにしていた。
最近は、攻略対象キャラとの出会いイベントが頻発してしまって、ヴィオリーチェとの時間が明確に減ってしまっていた。彼女は、決して怒りはしないが、私の方が申し訳なくなってしまうのだ。彼女は自分の命がかかっているんだから、きっと気が気でないと思うから。
「アルカ、浮かない顔してるけど何かあった?」
昼休み。
この日、私は中庭でジャンくんと一緒にお昼ご飯を…具体的に言うと焼きそばパンを食べていた。
必要だったから…と言うのはあるけれど、彼は唯一狙って登場させた攻略対象であり、また普通に性格が良い人間なので、私としては友人として仲良くしていた。
気さくでさっぱりした気性のジャンくんは、話をしていると何となく元気になれるし、癒される存在だ。
「…んー…ただの寝不足だよ。落ちこぼれの汚名を返上する為に、寝る間も惜しんでお勉強してるからね!」
私が冗談半分本気半分でそう言って笑って見せると、ジャンくんもニカっと笑う。
「そつか…。放課後も遅くまで学校に残ってるみたいだもんな。でも、あんまり無理はするなよ?」
元気少年のジャンくんだけれど、元気少年にありがちながさつさとか無神経さとか鈍感さみたいなものは、彼には全然なくって、本当に人を良く見てる…って感じがする。要するに、凄く友達思いなんだよね…。
「俺たち友達なんだからさ。何かあったら相談しろよ。俺が教えられる魔法はそんなに多くないけど、出来ることはあるかもしれないしさ」
「ジャンくん……。ありがとね…」
私はちょっと傷心だったこともあって、妙に感激してしまってつい涙ぐんでしまった。実際に寝不足だったこともあるので、それで変なテンションだったせいもあるのだけれど、ジャンくんはそれを私が弱って情緒不安定になってしまっていると思ったんだろう。
一層心配げに、一層優しい態度で私を慰め、励ましてくれた。
こんな風に私とジャンくんが、時々だけど一緒にお昼を食べたりお喋りをしていたことがきっかけで、この後、私にとってとんでもない大事件が起こることになってしまうのだが、この時の私はまだそんなこと知る由もなく呑気に笑っていたのだった。
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