第6話 正義執行
「あー……良いことしたあとは気分がいいなぁ」
「ご、ごろじ、で……」
「いい座り心地だ。家に持って帰りたくなる。我ながら力作だぜこの椅子は。特に弾力と柔らかさのバランスが絶妙だぜ。さすが魔族の生肉」
「ご、じ……」
「フフ、死んだら考えてやる。殺して欲しけりゃ早く死ねよ」
「あぐ、ま……」
「お前らにとってはな。だが、人間にとっては天使だぜ」
「ぜっだ、ちが……」
「食人鬼が戯言をほざきやがる……。お前に食われた3馬鹿の痛みを思い知るんだな。それがお前の罪の味だぜ。よく味わって飲み干しな。クククッ。ハハハハハハッ!」
俺は椅子を作った。体毛や歯や爪を全て抜き取ることで滑らかな座り心地を、間接を綺麗に折ることで丈夫な骨組みを実現。仕上げに体内外を隙間なくいたぶることで抵抗を簒奪。俺だけでなく誰でも座ることが可能になった。
そうして出来上がったこの椅子。原材料費なんと0円。匠の技が光る逸品だ。
「んー……必要なことは聞いたし殺すか。飽きた」
「ギャビ! 」
四脚椅子の座部の前面からちんこのように生えた魔族の頭を、俺は首を斬って落とした。椅子から鮮血がドバーッと吹き出す。その時には既に俺は椅子から離席し終え、部屋の出口の前に立っていた。最後に、魔族の幹部の成れの果ての姿をもう一度だけ振り返る。
「哀れなものだ」
暗く狭い通路を俺は足音を反響させて歩く。
もう、振り返らなかった。
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