サバイバルマン

散々小太郎左衛門之助太郎

第1話

「ハイ!ハイ!申し訳ありません!ハイ!」


お辞儀の角度は45℃、スーツはシワなくピッチリカッチリ透明ケース入りのスマートフォンを耳元に押し付け男は叫ぶ


「ハイ!ご尤もでございます!いえ!申し訳ありません!」


カフェテリアの中心にて大声で謝罪をする男こそ、そう紛れもなくサバイバルマンである。

この無情で剣呑な社会を生き抜く現代のサバイバー


「では!また直接お伺いさせていただきます!」


サバイバルマンは大声の謝罪電話を終えると持っていたスマートフォンを全力で握る!まるでプロレスラーがリンゴを素手で潰し握力を誇示するかのように。


「ふん!!!!!!!!」


が、当然!潰れない!サバイバルマンの握力は27!これではスマートフォンどころかみかんも潰せない!哀れ!サバイバルマン!


「あのー…お客…様?」


「何だ!」


店員には横暴なようだ。


「大変申し訳ないのですが…その…お声の方を…」


「ほぅ……この声量では!足りぬと言うのか!良い!良い!では!改めて!コレと同じものを!1つ!」


サバイバルマンは床に散乱したバニラフラペチーノだったものを指さし高らかに声を上げる!


「いや、そのもう少し抑えていただき…」


「……」ボソボソ


順応!言われた事をすぐに実行する!その意気や良し!理想的日本人ムーブここに極まれりである!日本の究極的極端思考をなんの躊躇いなく実行する柔軟性が現代への足音を軽やかにする!ルンルンだ!


「え!?あ…は、はい!バニラフラペチーノ!お1つですね!」


「うむ」


賞賛!そう何を隠そうこのカフェテリアの店員も紛うことなき現代社会の荒波に翻弄されるサバイバー!この世にくだらぬ職業など皆無である!


「ふむ、良き茶であった」


颯爽とバニラフラペチーノを残し退店、甘過ぎたようだ。

そしておもむろにサバイバルマンは帰路に着く…まるで本日は業務終了後に直帰すると報告済みかのような顔で…。


「ハイ!いえ!自宅です!ハイ!申し訳ありません!」


……………


これを読む、既に社会と言う敵だらけの戦場に出ている者、戦の準備を虎視眈々としている者、戦に敗れ傷を癒す者…現代をしっかりと生きているサバイバー達に応援をする!


また!さらばだ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

サバイバルマン 散々小太郎左衛門之助太郎 @syousetukakentan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る