第5話 能力初心者はすぐに死ぬ

「やるの? やらないの?」


 凛は、強い口調で銀太郎に詰め寄った。


「やらなくても良いけど、このままその力を制御できないとすぐに老けて死んじゃうよ!」


「エ〜!」

「どっちにしても、死んじゃうのかい!」


 銀太郎は、不本意だったが従わざるを得なかった。


(しょうがないよな、力の制御方法を知らないと死ぬっていうんだから。

 それにさっきから気になっていたのが、女医の彩花が言っていた「あの力を使えばあなたもお金には不自由しなくなるわよ」だ。できれば、その方法も教えてもらって、金持ちにもなりたいしな!)


 銀太郎が、口を開けたまま考えていると、凛が上目遣いで、銀太郎の顔を覗き込んた。


「ふ〜ん!――― お金持ちになりたいんだ!」


「えっ!――― なんでわかるの、凛ちゃん」


 心を読まれた銀太郎は、子供に話すように凛に言った。


「おい!銀太郎。子供扱いするなよな。同じ歳なんだから!」


と、凛が強い口調で言った。


「あっ。 ごめん。」


「凛ちゃん、その辺で許してあげなさい」


と、彩花が凛に言った。


「じゃ、そろそろ銀太郎に力の制御を覚えてもらうために練習しようか」

「みんな、集まって!」


 そう言うと彩花は、部屋の中央にある白く丸いテーブルの席に座った。


 彩花、翔、凛、圭太、俊介、銀太郎の6人がテーブルについた。

 彩花は、テーブルに置いてあったトランプを手にしてものすごい早さでトランプを切り、一枚をテーブルに伏せて置いた。


「銀太郎、このカード何か分かる?」


「いやいや、分かるわけないでしょ」

「彩花さん、伏せて置いたんだから」


「じゃ、ほかの皆は分かるかしら?」


 全員が手を挙げた。


「えっ! 皆は透視も出来るの?」


と、銀太郎が目を丸くして言った。


「えっ! 銀太郎見えなかったの! 彩ちゃん伏せる前にカードを見せたでしょ!」


 凛が、小馬鹿にして言った。


「ひょっとして、銀太郎って遅いの〜」


 凛は、上目遣いで銀太郎を馬鹿にした。


「凛ちゃん、そのくらいにしてあげなさい。銀太郎は、始めたばかりだから遅いのはしょうがないのよ」


 銀太郎は、なんのことか全く解らず固まっていた。

 

「少し、スピードを落とすから銀太郎良く見て」


 彩花は、こう言うとまたトランプを切り、素早く一枚を抜き一度こちらに見せてからテーブルに伏せた。


「あっ! 見えた!」


 一瞬だったが微かにカードの色が見え、銀太郎は嬉しそうに声を張り上げた。


「カードは、何だったの?」


 凛が聞いた。


「えっ! 赤かった!」


「おい! 色だけかい! プッ!」


 凛が、吹き出して笑った!

 ほぼ同時に他の四人も笑った!


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