6話 魔王の微笑み
「僕は
僕が3人の男性に微笑みで以てお断りを入れると、彼らは途端に色めき立った。
「……かわいいな。その角は……
「君って歳はいくつ?」
「ま、ま、ま、まごうことなき姫である」
それから僕は無言で湖面から顔をのぞかせる巨大蛇を
「おう? あー白蛇がいるな!」
「いつ見ても迫力あるよなー。あれって大木より太くね?」
「ひっ、姫よ、声を発するのだ」
一言だけ、警告してやる。
「……怖いよ?」
それは【白波の
「大丈夫大丈夫! あいつら滅多に襲ってこねえから!」
「なんだよ、お姉さんはそんなことも教えてなかったのー?」
「ま、ま、ま、まごうことなき天女の声である」
『————襲って』
僕は
「よーっし、俺たちがたっぷり教えてや————」
「いいか、あの白い巨大水蛇はな————」
「りりり、凛として透き通る声が最高ッ————」
呑気に遠くの【白波の
「——わ!?」
「——なぎぇッ!?」
「——ぶひ!?」
彼らは為す術もなく、白い濁流に呑まれて水中へと落ちていった。
「
金剛さんが突然の事態に、ぼくを庇うように周囲を警戒してくれる。
彼女はぼくのステータスが異常だと知っているのに、ぼくを守ろうと動いてくれたのが少しだけ嬉しかった。
「大丈夫です————【
【白波の
:
:
:
:【銅の剣】を獲得:
:【しなる弓】を獲得:
:【鉄の槍】を獲得:
:
:獲得した武器は自動で【
わあ。
なんか便利な
「わー偶然の事故ですねー」
僕がそう言うと彼らは我に返り、そしてパニック状態に陥っていた。
三人は目を丸くしながら、自分の身体を何度も何度も確認している。
「え……い、生きてる!?」
「お、お、おれたち……何が起きた!?」
「ぱ、ぴ、ぴ、ぽ、ひっ」
「
「ほらほら金剛さん、ここは危険ですから街に戻りましょう」
僕はその場で動揺し続ける彼らを置き去りにして、証拠動画の配信を切る。
そしてホクホク顔で【剣闘市オールドナイン】に凱旋を果たした。
一回で金貨240枚はおっきい報酬だ。
◇
「それにしても
「
仮にも彼女は冒険者としてトップ層なはずなのに。
いくら初期都市周辺のレクチャーだからといって、危なくないですか?
「んんーでもそっちの方が…………
あっ。
冷静になってみると、上位の冒険者でありながら自分の主武器を携帯しないのはおかしな話だ。
どうして彼女が武器を持たずに、ぼくと
それは多分……ぼくが彼女を警戒していたから。
だから金剛さんは警戒を解くために、あえてリスクを冒してまで信頼を勝ち取ろうとしていた……?
「どうしてそこまで……?」
「友達になりたいから、それ以外ありえないわ」
彼女は初めから————
敵意はないし、友達になりたいって、態度で示し続けていたのだ。
少しだけ、ほんの少しだけ胸の奥がぽかぽかした。
だから自然と口元がゆるんでしまう。
「あれあれ~?
でゅへへって……やっぱりなんかこの人、信用できない!
ちょっ、くっつくな!
あっちいけっ……やっ、ぼくが少しでも本気を出したら金剛さんが肉片になっちゃうかもだから、ストップ、ストップ。
くっ、振り払いたいのに振り払えない……!
「真央くんかわいいいいぃぃ……! ねねっ、もう私たちは友達?」
「…………」
「友達以外ありえないわよねっ?」
「……ま、まあ……たぶん」
「
「う、うるさいです……!」
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