耳の無くなってから



何とかログアウト出来た俺たちは

いつもの通学路をぽてぽて歩いていた


「まだトレンド入りしてる。みんな耳が

好きなのかな」

「もう終わりだ猫の国……」


SNSではずっと俺の事がトレンドだった。

どこかでは偽ネコミミを生やした奴がモンスターに見向きもされず暴れまくったとか

しかし、あの少女は一体……


「あーあ、現実でも耳が生えたらなぁ」

「そんな事になったら片眉を剃り落として

山に籠るよ。俺は」

「えー」


美子は俺の頭をわしゃわしゃした。それを

したとこで俺の耳は顔の横にしか生えて無いのにだ。まあ俺も楽しかったかもしれない


「ねーさー今度付け耳を買ったら」

「俺は付けないぞ」

「バレた!」


「後な、ダンジョンの事誰かに話したら

お前が耳を舐めまくった事も学校中、広めるからな」

「ひゃんっ!やめてぇ」


ささっと、美子は頭から手を除けた

そうして、また歩いていると

目の前を眩い輝きが通った気がした


「まさか……!?」

「ど、どうしたのよ。いきなり!」

俺は走った。ダンジョンみたいに敵から

逃げる為でも持久走大会の為でも無い、

一つ確かめたい事がある故にだ


そして、走った先に少女は立っていた。

ダンジョンと同じ姿をしてだ


「ど、どうして現実世界でも同じ姿!?」

「さあな、儂にも分からん」


少女は本当に美しかった。人間では無い事は確かだが、二次元で見る様な存在とも違う

触れたら消えてしまう綿あめの様な


「あ」

「ありがとうございましたああああ!!」


とりあえず俺は頭を下げた。この人が妖怪とか悪魔とかだったとしても俺たちが助かった事は事実なのだから


「よいよい、あれはお詫びなのじゃから」

「お詫び?」

「そうじゃ、お主に耳を生やしたのは儂じゃからの。あんな騒ぎになるとは思っておらんかったが」


恥ずかしそうに少女は笑う。怒りよりも不思議さを俺は感じた。そんな事出来るのかと


「してお主、儂の事調べとらんかったか?」

「調べ……あ!」


ポケットからスマホを取り出し、履歴から

ダンジョンの都市伝説が書かれたサイトを

開き、ある都市伝説を読む


「あるダンジョンに現れる狐少女……遭遇した者は幸運が得られるという」

「それが儂じゃ」


なんてこった、俺は頭に耳が生えるという

バグを引き起こし都市伝説の存在も確認していたのだ


「久々の戦闘、楽しかったぞ。さら」

「あ!耳だ!!」


美子の声がした、遅れてここに到着したらしい


「な、何じゃあコイツは……にげ」

「つーかまえた!!」


美子は目にも止まらぬ速さで少女をホールドした


「もー現実世界で耳が生えた子がいるなら

早く言ってよ。あは、あはは」

「おい!コイツ変じゃ!剣を!」


少女は腰に挿した剣を抜こうとしたが、そこに剣は無かった


「し、しまった!ここ現実世界じゃ!」

「にへへ……しっぽとどっちから触ろうかな」


「お、おい!男、コイツをどうにかして

くれんか!」

「えーどうしようかな。耳生やした事、謝るんなら考えてもいいけど」

「それはさっき助けて謝る代わりにした

じゃろ!こにゃああ……!」

「じゃ、好きなだけ遊ばれたら」

「ごめんなのじゃああああああああ……」


正気を失って警察が来る程に少女と戯れた

美子とそれまでにしっかり少女の姿をスマホに録画した俺であった


【今日の一言】

ダンジョンで無闇にプレイヤーの頭へ

耳を生やしてはいけません


おしまい


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【悲報】ダンジョンに何気なく入った俺氏耳が頭の上に生えてしまう しかもこのダンジョンにはヤバい奴しか居なかったらしい だらく@らくだ @ujtjtmjmjmdt828

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