第7話 体育なら誰にも負けねえ!
「ただいまA国が核ミサイルを連射しております。該当地域の方は速やかに地下か安全な場所に避難してください」
「やべー、またかよ」
ドーーーン!!!
〜〜〜
「うあーーー!!!ってなんだ夢か…嫌な夢だったな」
ベットに置いてある目覚まし時計を見るともう朝の6時半だった。
(目覚めの悪い朝だ)
「おにい、入るよ」
「お、おう」
「さっきの大声何?」
「え、ちょっと悪夢を見てな」
「そうなんだ…朝ごはんだって下いくよ」
「うん」
俺は、冷や汗でべっちょりのパジャマから学ランに着替えて下へと行った。
「お、ユウキ起きてきた。おはよう」
「おはよう、母さん」
ダイニングに入るとおかんが朝ごはんの準備をしていた。
懐かしい、美味しそうな匂いが漂っていた。
「昨日は寝るの早かったね」
「うん、ちょっと疲れてて」
すかさず妹の友恵が
「本当おにいは最近疲れてるよ。昨日なんてバスタオル巻いて風呂に入れとか言ってきたんだからね」
「す、すまんな兄ちゃん最近疲れてて」
「まーいーけどさ」
(友恵は昨日バスタオルを巻いてお風呂に入ったのだろうか?)
聞くにも聞けやしなかった。
「さあ、早く食べちゃいなさい」
「はーい」
俺と友恵は朝ごはんを食べて、学校へ行く準備をした。
「いってらしゃい」
「いってきます」
二人揃って、返事をして玄関を出る。
妹と歩く通学路。
「おにい今日は体調悪くない?」
「まあ、昨日よりは。悪夢は見たけど」
「なんか最近疲れてるようだから、無理しないでね」
「あぁ、じゃあ俺駅向かうから」
「じゃあねー」
俺は妹と別れて駅に向かい電車に乗った。
学校までの道のりを歩いていると、沢田が後ろから話しかけてきた。
「よおユウキ」
「なんだ、沢田か」
「なんだよしけたツラして」
「い、いやちょっとな」
「最近変だぞユウキなんか大人っぽくなったというか」
「そ、そうか」
「ちょっと前のお前なら大人なんてなりたくねーしとか返してただろ笑」
「ま、色々あんだよ」
「そうか、なんか困ったことあったら言えよ」
「おうありがとう」
高校時代の沢田も現代の沢田と同じく思いやりのあるやつだった。
そういえば、こいつ結構優しいやつだったな。
ガラガラ
教室に入ると、三河さんが朝にもかかわらず勉強していた。
「おはよう、三河さん」
「おはようございます。立川さん」
「昨日はありがとう。朝から勉強?すごいね」
「テスト期間だから当たり前だと思います。立川さんは勉強をしなさすぎです」
グサッ。やっぱり淡白だこの人
「まあ、俺も頑張るよ」
しばらくすると担任が、教室へ入ってきてホームルームが始まった。
「今日からテスト一週間前だから気合い入れていけよ。あと一限は体育だから早くグラウンドいけよ」
そのほか連絡事項を聞かされホームルームは終わった。
「ユウキ、早くグラウンド行こうぜ」
「おう」
沢田と後藤と3人でグラウンドに移動する。
「はい今日の体育は、ソフトボールをするぞ。片側のグラウンドは4組が使う。だから半分しか使えない。なので男子のソフトボールが終わったら女子のソフトボールをする」
「はい」
みんなで返事をする。
「よし早速男子からするぞチーム分けしろ」
〜5分後〜
「でなんでお前とチームなんだよ神保君」
「しょうがないだろ。出席番号の偶数奇数で決めたんだから」
「てか、俺何年もまともな運動してないんだけど大丈夫なの?」
「肉体は当時のままだから大丈夫だ」
「ならよかった」
「じゃあ偶数チーム後攻だから守りに行け」
先生の指示で試合が始まった。
(俺はショートか…一番大変なとこじゃねーかよ。まあ学生時代はソフトボール得意だったからいいか。にしても久しぶりだから不安だな)
「立川ボール行ったぞ!」
「おう!」
ジャンプして華麗にボールをキャッチする。
(うわすげー高校生の体軽すぎるだろ)
「ワンナウト!」
「ナイス立川」
その後出塁を許したが俺の活躍もありゲッツーで抑えてチェンジになった。
俺の打順は5番神様は8番なのでしばらく話していた。
「やるじゃないかお前」
「まー野球とかソフトボールは得意だったからな」
「ふーん」
「なんか、さっきから神さ…神保君元気ないな」
「いやー昨日の観察でバスタオルが…邪魔だった…!」
「バスタオル?なんの話って…お前!やっぱり!」
「違う誤解だ。たまたまだ!故意じゃない過失!」
「お前何がたまたまだ!マジでバットでぶん殴るぞ!」
「すいません!気をつけます」
「次過失したら、顔フルスイングな」
「お兄ちゃん怖い」
「うっせーわ」
(ともえのやつしっかりバスタオル巻いてたんだな)
「立川、打順だぞ」
「おう」
バッターボックスに入る。ランナー満塁。ここはホームラン狙っていくか。
「対決だなユウキ」
「おう」
相手ピッチャーは沢田だった。
沢田がボールを投げた。
(さすが沢田だ。豪速球だ。しかし、ここで捉えれば)
カキーン!
ボールは守備範囲をこえホームランとなった。
観戦してた女子や同じチームからは歓声が沸いた。
「すげーホームランだ!」
「しかも満塁!」
俺は鼻を高くしてホームに帰ってきた。
「どんなもんよ神保君」
「やるじゃないか、おっさんのくせに」
「くせには余計だ。あとおっさんも余計だ」
このこともあり偶数チームは勝利した。
「立川ワッショイ、立川ワッショイ」
俺はチームのメンバーに胴上げされた。
(当時はどうも思ってなかったけど高校生も悪くないな、というか楽しいな)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます