第11話 日本舞踊と外国人
子役とキッズモデルの合間に日本拳法、ピアノ、日本
日本
西川流の家元である西川
芸能活動であまり時間が取れない中で、
「
仕草、表情、視線の一つ一つを頭の中で確認して演じる。
1時間通しで演じた事もあって薄っすらを汗が浮かんでいる。
「もうちょっと恋する娘にならないと駄目ねぇ。」
恋愛したことのない私にハードル高過ぎなお題目。
「そうは言っても初恋もまだなんですよ。恋って言われても…」
本当に困るんです!と文句を言えば
「あら
黒歴史を持ち出された!
「あれは出来の悪い弟を指導したようなものです!他の題目では駄目なんですか?」
恋、鯉、コイ、こい……自分が誰かに恋しているイメージが浮かばない。
「駄目よ、西川流で一番若手で演技力と表現力があるの
何とも他人任せな
「芸能人は恋愛御法度なんです!というか発表会はまだ先ですよね?」
大きなため息を吐いた。
「発表会はね、私の知り合いが日本
「それなら私ではなく他の子の方が良いのでは?」
6年の経験を積んでいるが私より上手な子は多いと思う。そんな私の思考を読んだ
「お客さんはイギリス人なのよ。英語が話せる
本音をぶっちゃけた。
「通訳を雇えば良いじゃないですか?」
スキル万能言語があるから大丈夫だが、こんな形で頼られたくなかった。
「通訳だときちんと伝えて貰えるか分からないじゃない。その点、
「
腹を括って恋する娘役を演じて見せようではないか!帰ったらドロドロの恋愛映画を観て勉強しよう。
私は京都の嵐山にある料亭
「
こそこそと隣にいる
「本当は舞台で観たいって言われていたんだけど場所が抑えられなくてねぇ、食事も取れて舞える場所ならお座敷が良いかなって提案しちゃった。格式ばった物は無いから思いっきり舞いなさいな。」
うふふと笑顔でGOサインを出された。
座敷に通されるとイギリス人夫妻が座っていた。流石に正座は出来なかったようで、座椅子を使って寛いでいる。
『わぁ、アンとても綺麗だね。』
『本当に美しいわ、ジョージ。』
二人して私の衣装を褒めてくれている。
美しい赤い着物に興奮する二人に
『初めまして、スミス夫妻。私は日本
英語で自己紹介をする。
『まあ!お嬢さんは英語がお上手なのね。』
『本当だ!凄く流暢だよ。今日の演目を凄く楽しみにしていたんだ。
『痛み入ります。是非、楽しんで頂けたら幸いです。』
『動画を撮っても良いかい?』
ジョージの言葉に内心眉を顰めるが
『動画の撮影は構いませんよ。』
スミス夫妻と少しの間、談笑してから
シャンとなる三味線に合わせて舞を踊る。
金銀の姫扇が道成寺への道中、恋人との逢瀬を回想を想像させた。
くるりくるり、ひらひらと重さを感じさせぬ舞に魅了されるスミス夫妻。
場面は変わり手ぬぐいを使い、恋する思いを踊る〝クドキ〟と呼ばれる女心の切なさを情緒たっぷりに描く場面に彼等から溜息が零れた。
そして一時間と短くない演目が終われば二人は放心状態になっていた。
『
『素晴らしかった!この気持ちをどう表現して良いのか分からないよ!』
『そうね、テンポ良く様々な踊りが見れて満足だったわ。恋する少女の想いが伝わってきて最高よ!』
盛大に褒めてくれた。
後日、スミス夫妻が取っていた動画が
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