第7話 木柵

調理場は何人も同時に調理や作業ができるように少し広く作られていた。


魔物や食材を置く場所もあり、上手く積めばゴブリン20体ぐらいは置けそうだ。


『こちらにゴブリンを5体ほど出しておきます』


「5体も討伐したんだな。しっかり解体してやるよ」


「これなら村の皆にお腹いっぱい食べてもらうことができます」


『アイテムボックスにたくさん収納してますので、毎朝調理場に出しに来ます。解体と調理をお願いします』


「そうなのか?明日出せるだけ出してくれたら全部やっておくよ」


「調理も任せてください!」


頼もしい返事を貰い後は二人に任せて、村長と部屋に戻って来た。


食料問題が解決したら次にすべきことは村の防衛問題だ。


『南に少し進むと多くのゴブリンに遭遇しました。村周辺はすでに魔物に囲まれている状態かもしれません。村が魔物に襲撃される可能性はありませんか?』


「おそらく襲撃されるでしょう」


『村の状況を考えれば短期間で戦力を整えて、魔物を撃退することは難しいです。少ない戦力を前提に対策すべきです。例えば、間引き、防壁、罠などです。私は明日も村周辺で魔物の間引きを行います』


「村周辺は定期的に間引きが必要なので助かります。ただ、北にあるローリー拠点が落ちてから魔物は増加し続けているので襲撃は時間の問題です」


『防壁を建築しましょう。皆を守りながら防壁越しに攻撃すれば魔物を撃退できます』


「その通りですが、資材、人材、時間の全てが足りません。防壁で村を囲うには時間がかかりますので完成前に魔物の襲撃が起きるでしょう」


『防壁は村長の家周辺だけで、城壁のように石ではなく木柵にして短期間で完成を目指します。襲撃時に避難する時間が必要ですが、このまま魔物に襲撃されるより被害を減らせます』


「村の木柵は魔物に破壊されました。木柵では無く頑丈な防壁にすべきです」


『建築する木柵は木を並べるだけでは無く、作り方を工夫することで頑丈にできます。魔物の襲撃にも十分耐えれます』


「家周辺のみでも大量の資材が必要で、木を伐採して運ぶだけでも時間がかかります」


『アイテムボックスに木を収納して庭に展開しますので短時間で対応できます』


「木の加工に魔道具を利用しますが、魔石が無ければ動きません」


『間引きした魔物の魔石を使いましょう』


「木材の組み立てに巨大クモの接着材が必要です。巨大クモは平均Lv5前後のパーティで討伐しますので入手できません」


『最速でLv8程度まで上げて巨大クモの討伐を行います』


「木柵を作るための予算がありません」


『皆に均等に負担いただきましょう。生活を良くするために仕事は山ほどありますのですぐに返済できるでしょう』


「皆に負担ですか……」


『木柵は皆のために必要で、負担してもご飯は食べれるし仕事もあります。皆が楽しく暮らせるように木柵を建築しましょう』


「わかりました」


『ありがとうございます。建築に詳しい方を呼んでもらえますか』


「アーロン!ペンターを呼んできてください」


「わかった」


少ししてすぐに背は小さいが、非常に体格がいい男性が入ってきた。


「突然お呼びしてすみません。こちらヒデです」


『はじめまして、ヒデと申します』


「俺がペンターだ。普段は家の建築、修理、補修をしている。何か作るなら少しは手伝えるかもしれん。よろしくな」


ペンターに今まで村長と相談した内容は伝えた上で詳細を相談していく。


『魔物の攻撃に耐えれる頑丈な木柵を作るために、木をひき板にして繊維が縦横に交差するように何枚も重ね合わせて接着した直交集成板を使います。ひき板は30ミリでそれを9枚重ねたものを使って木柵を作れば十分魔物を防ぐことができると考えています』


「太い木でも頑丈になるが魔物は防げない。だから城壁は石で作られているが、その作り方ならより頑丈な木柵を作れるかもしれない。ただ、ずっと耐えられるわけでは無いので魔物を足止めして倒さないといつかは壊されるぞ?」


『足止めした魔物に投擲などの遠距離攻撃で討伐しますので長時間魔物が木柵に張り付くことはありません』


「本当なら検証して耐久を調べたいが、そんな時間は無いし説明された仕組みで頑丈になりそうなのでやっていいんじゃないか?」


「わかりました。皆のためによろしくお願いします」


『オープン記念で村の皆が集まるので木柵建築、費用負担、今後も皆が楽しく暮らせるように様々なことを進めることを伝えてください』


「わかりました」


『建築に必要な魔物の素材はクチーナから直接受け取ってください。また、持っている木を庭に展開しておきますので、明日から必要な人に声をかけて作業開始をお願いします』


「わかった。明日から建築に向けて動くことにしよう」


「そろそろゴブリンの調理が終わるころでしょう。みんなで食べましょう」


食堂オープンに続き、木柵の建築も進みそうで順調だ。お腹いっぱい食べれるし、避難すれば魔物の攻撃から守れるので少し前より安心して暮らせるだろう。


まだまだ村を発展させれば快適な生活を送れるはずなので皆には楽しみにしてほしい。


村長とペンターに続いて一緒に庭へ移動する。久しぶりの肉だ!皆と楽しく食べよう。


どの辺にいるのかな……。


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次回はパーティです!

空腹の状態で食べる肉は最高だと思います!

皆さんはどの部位が好きですか?


少しでも面白そうと思ってもらえたら応援と★お願いします。

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