第4話 あれから

 それから。


 平川ひらかわ理不尽りふじん要求ようきゅう


 それは、からだをす、ということだった。

 

 その要求ようきゅうには、えつづけた。


 ここではいえない。


 くちすのもおぞましい、エリートにはふさわしくないいもしてきた。


 今、安心あんしんできる環境かんきょうにいて、なおかつ、ちいさなおうちで、おおきなぬくもりをている。


「ぱぱぁ?」


 くもりない両眼りょうめで、息子むすこがこちらをつめてくる。


うそは、よくないな」


 自分じぶんえた義理ぎりかよ。


 自分じぶん恋愛対象れんあいたいしょうは、男性だんせいだ。


 このしあわせは、いつわりのうえっている。


 本当ほんとうは、平川ひらかわ結婚けっこんしたかった。


 肉体関係にくたいかんけいなんて、つまとはれている。


 正確せいかくには、つまにはたったことがない。


 つまはいぶしかんだが、なんとか、こどもはふたり、つくることができた。


 世間せけんでは、ふつうの夫婦ふうふに、どこにでもいる夫婦ふうふえるだろう。


 まえにいるのは。

 

 つま卵子らんしに、おれ精子せいしれ、奇跡的きせきてきにできあがった作品さくひんだ。


 この秘密ひみつは、ぬまでかくとおす。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る