第12話

少し前の話なんだけど

使い込んで汚れたお気に入りの靴履いて通学してたら

家に帰ってきたとき

『掃除したら出てきたよー』

ってママが似たような綺麗な靴出してきた

それ絶対買ってきたよね

こんなタイミングで出てこないよね


思春期特有の憤りが

好奇心となって

年相応の経験値を積む原動力になるはずなのに

あたしたちみたいなB面ときたら

そのしくみは

全く培われなかったようで


ママの暗躍をうざがりつつも

このぬるま湯に浸かり続けると

将来ダメになるなと悟りながら

既に今心の底では

生き地獄の沼で溺死してる状態で

もがく余裕もあたしにはない


だから

自発できないのに

内弁慶が反発できる相手の

ママに反発するのは気楽だもん

そのこと理解しながら

相手の気持ち想像しながら

そうできるだけ

あたしはマシだって

自分自身を弁護する


ママの

勝手にこれすると喜ぶだろうって

腫れ物に触るような

娘の将来をダメにするであろう

理不尽な過保護さにイライラしながら

反抗期の化けの皮をレンタルして

このときだけはの自分の心の内を

爆発させる

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