第9話

そんなあたしB面は

担任や大人たちからしたら

積極性に欠けるし

コミュニケーション取れなくて将来のニート候補だって

それもうあたし自身が一番に自覚してる

そうなってしまってるから

変わろうにももう無理でしょう?

今の世界でバランスとるのにいっぱいいっぱい


年相応の引き出しなんてない

バイタリティも皆無だし

自発的に動くスタミナも欠けてる

欠けたものが多い不良品だから

それがみんなにバレないように

『いかにもひとりが好きなんです』

そうラッピングして武装して

友達作る機会も失った

全部自分が悪いんだって

わかってる


外側から見たら

ただ存在してるだけって

ひとりでも好きなことして過ごせますって強そうな人間でも

あたしの心の内側は

ハートはもうボロッボロ

自分の行動が原因で

馴染めない教室

それを大人たちに相談したところで

誰が共感してくれるんだ


ヘトヘトになるくらい一生懸命な毎日の

集大成が『今日』という日

今日が積み重なり

『明日』も『今日』として

新しい日の朝となって

あたしの前に横たわる

っていうか

ずっと学校のこと思い出して悶々としてたけど

もう朝の至福の時間も終わりだね


絶望の音が聞こえて

パパママ起きてきたみたい

ついに世間が動き出す

土曜日は学校休みだし

平日仕事の人だって

ゆっくり過ごすだろう

そんな『偽りの自立』

心から満喫できるのはあたしだけだって

あと数口のデニッシュパン片手に部屋を見渡す

あたしだけの

本当に心から感じられる

唯一自由な時間が幕を閉じる

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