第17話

「本当にこの町にヒテナ達はいるの?」

ミナが聞いてきた。

既にこの町に来てから2日が経った。

今は教会から少し離れた場所を探している。

「そろそろ昼飯にするか」

今日も見つからないのだろうか。

そう思って昼飯を買いに、

炎天下の中を歩いている時だ。

見慣れた2人が走っている姿が見えた。

ヒテナとクナだ。

「ヒテナ、クナ!」

ヒテナはもう行ってしまったが、

クナは気づいてくれた。

「そんなに慌ててどうしたの?」

クナは私達の質問には答えず、

「ついてきて」

と言った。


血の匂いがする。

嫌な予感がしながら、廃屋の扉を開けた。

そこには血まみれになりながら、

抱き合っている、2人の姿があった。


「ヒテナ、ちょっとどいて」

「まだ治せる」

ヒアナが2人の元に駆け寄った。

そして手をかざした。

ミテナの血が、ミテナの身体に戻っていく。

ヒアナは一通り終えた後、泣きそうになりながら言った。

「応急処置はできた」

「でも、まだ分からない」

「ひとまず、ソファーに寝かせといて」


その後は久しぶりに7人で寝た。

いや、1人は死んでしまっているんだ。

それに、また1人死ぬかもしれない。


なんでこんな事になってしまったのだろう。

「もう嫌だ」

私は久しぶりに泣きそうになってしまった。

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