第16話

「これでいいかな」

ヒテナは両腕に3人分の塩パンを抱えていた。

帰りにジュースも買って行くか。

そんなことを考えていた時だった。

「ヒテナ!」

クナがすごい勢いで走ってきた。

その瞬間、ある程度理解した。

ミテナに何かあったのだ。

私はパンを放り出し急いで家に向かった。

もしかしたら、お腹が痛いだけかもしれないと

希望を持っていたが、それもすぐに打ち砕かれた。

家には、真っ赤な血の海が広がっていた。

そしてその真ん中に2人の姿があった。

私は、恐らく兵士の遺体であろう物を押しどけミテナの息を確認した。

「まだ生きてる」

ミテナは微かにだが呼吸をしていた。

しかし、瀕死の状態だ。

何かをしなければ。

でも、私になにができる?

なにもできないのか?


「ヒテナ」

私はハッと扉の方を見た。

そこにはクナの姿だけでは無く、久しぶりの

3人の姿があった。


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