第3話

「早く逃げるぞ」

そう言った時には、既に矢が雨のように降ってきた。

「ヒアナ、避けろ」

そう言ってヒアナを引き寄せる。

なんだ?

どういうことだ?

なぜ自分はヒアナに矢が当たると分かった?

自分が引き寄せたくせに、なぜそんなことをしたか分からなかった。

しかし、その答えはまた矢が飛んできて分かった。

私は少し先の未来が見えているのだ。

なんだこの力は?

あの紫色の土地の影響か?

「なに、ぼーっとしてるの」

そう言われて私は考えることをやめた。

ここで考えるべきではない。

あとで考えよう。


「ハアハァ」

どれくらい走っただろう。

私達はまったく知らない町に来ていた。

「他のみんなは?」

どうやらここに居るのは私、ミアナ、ヒアナの

3人だけらしい。

「そういや、変な魔法出せるようになったよ」

特別な力を持ったのは私だけではないらしい。

それなら他のはぐれた4人も大丈夫だろう。

「問題はこれからどうするかだな」

「静かに」

ヒアナが警戒した様子で言った。

「誰かに見られている」

その時だ。

「上っ」

武装した集団が降りてきた。

そしてヒアナに襲いかかる。

「お姉ちゃんに手を出すな!」

そう言ってミアナが立ち塞がった。

「殺しちゃうから」

その瞬間、右足で蹴る。

そいつの体が燃えさかる。

なにか、香ばしいような生臭いようなそんな

複雑な匂いがした。


「逃げるよ」

ミテナはまるで別人だった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る